ソーシャルでの言論はだれが規制すべきか

【Twitter Japan近藤正晃ジェームス氏 インタビュー】

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ソーシャルメディアは社会問題の解決に資する一方、使い方次第では社会問題を生み出すこともある。だれもが自由に発信できることで生まれる問題について、だれがコントロールすべきか。Twitter Japan 代表の近藤正晃ジェームス氏にお話を伺った。

 

「Twitterは地球の鼓動だ」

編集部(以下青字):「アラブの春」に代表されるように、ソーシャルメディアは社会を動かす力を秘めています。こうした力をどのように捉えておいででしょうか。

近藤(敬称略):私自身がTwitterに入社したのは、まさに「アラブの春」がきっかけでした。当時、私は政府にいて「アラブの春」を見ていたのですが、アラブ諸国は軍事的にも安全保障的にも強靭な体制が敷かれており、 デモなどがあっても変わらないというのが常識でした。専門家も大きな変化はないと見ていたにも関わらず、ほんの数週間で政権が変わるほどの大変革が生じました。その背景には情報技術の発達という要素があったことが、私がTwitterに関心を抱いた原点でした。元々社会問題について関心を持っていたのですが、アラブの春を通じて社会変革を加速するプラットフォームが新たに生まれつつあると感じました。

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近藤正晃ジェームス
(こんどう・まさあきらじぇーむす)
Twitter Japan株式会社代表取締役兼東アジア代表。慶応義塾大学経済学部卒業。ハーバード大学経営大学院修士号を取得。マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て2011年4月より現職。2005年に、世界経済フォーラム(ダボス会議)のYoung Global Leadersの1人に選出された。一橋大学大学院国際企業戦略研究科の客員教授も務める。

 それをさらに強く実感したのが東日本大震災の時です。Twitter Japanを設立してすぐのことでした。この時、安否確認や逐次情報の提供、また市民同士による課題を提示する人と解決する人との善意のコミュニケーションが、Twitterの上で展開されていました。我々はその善意のコミュニケーションに対して、もっと使いやすくするにはどうすればよいかを考え、重要なハッシュタグを共有したり、デマが流布するのを防ぐために公式アカウントを認証したりしました。
 この2つの歴史的な出来事を見てもわかるように、ソーシャルメディア、特にTwitterは、それぞれの人がそれぞれの目的で自由に使えるプラットフォームであり、水平展開が可能で、かつコンマ秒単位で拡散ができるツールです。言い換えれば、我々はものすごいスピードとエネルギーを持って世界中に情報を拡散できる装置を運営していますが、その装置を使って社会をどの方向に向かわせたいか その方向性に広い共感を生み出しうるかは利用者の皆さんに委ねられています。

――Twitterが社会の変革を先導するわけではないのですね。

近藤:変革を生むのはあくまでも利用者の皆さんです。我々はできるだけオープンな舞台で、世界のあらゆる人に自由に表現いただきたいと願っており、それが社是ともなっています。「アラブの春」や東日本大震災で見られたのはその一つの形ですが、可能性は無限にあります。例えば、ロンドン・オリンピックの際の感動の共有もありました。地球規模での共感の拡散は人々に新たな世界観や認識を提供したと思います。
 Twitterの創業者でもあり、会長を務めているジャック・ドーシーは、「Twitterは地球の鼓動(Pulse of the Planet)だ」と言いました。Twitterに触れていると、地球上のすべての人が今何を思って、何を考えているのか、その瞬間に感じ取れるのです。人間は常にいろんなことを感じながら生きています。Twitterの行き着く世界というのは、もしかしたら世界中の人の今の喜怒哀楽が自動的にストリームとなって、表現されている世界かもしれません。そうなればまさに地球の鼓動、人類の鼓動を感じ取れるツールとなります。

 

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