その企業理念は、
社員のやりがいを引き出しているか

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従業員の意欲を高める方法を論じてきた筆者らは今回、まずミッション・ステートメント(企業の理念、使命)から始めることを勧める。それを単なるお題目とするか、高業績への原動力とするかはリーダーの取り組み次第だ。


「素晴らしい人生を送るためには、人生が有意義なものでなければならない。そして有意義な人生を送ることは、有意義な仕事なくしては難しい」
――ジム・コリンズ

 皆さんは、自分の仕事にやりがいを感じているだろうか。イエスという人は、読者の中でも恵まれている部類に入る。ノーならば、自身の仕事――起きている時間の大半を割いている活動――にあまり意味を見出せていない、数多くの読者のうちの1人だ。つまり、仕事が目的達成の手段でしかなく、より大事なこと(家族、信仰、趣味、休暇、あるいはテレビ鑑賞)にもっと時間を割きたいと思いながら、何とかやり過ごしている人たちだ。仕事が「耐え忍ぶもの」となっているのだ。

 それは望ましい状態であるとは思えない。我々の研究では、自分の仕事を有意義であると感じ、その仕事で進捗を得ることが、人々の日々の職務経験を飛躍的に充実させることが明らかになっている。言い換えれば、自分の仕事で世界に違いをもたらしているという実感だ。スコット・ケラーとコリン・プライスは著書Beyond Performance: How Great Organizations Build Ultimate Competitive Advantage(Wiley、未訳)のなかで、このことを裏付けている。企業が従業員に仕事の意義を実感させることは、当人のためだけでなく、正しく機能し競争優位を持つ健全な組織を築くために不可欠であるという。

 なぜ仕事の意義はそれほど重要なのか。理由は、人は仕事に意義を見出すことで、当事者意識を持つようになるからだ。仕事に個人的な意味が生じるのである。ケラーが述べているように、当事者意識を持つ従業員は仕事に心身ともに全力を尽くし、高い内発的動機と意欲を持つ。これが企業のパフォーマンスをあらゆる側面で向上させる(詳細は本誌2008年3月号「知識労働者のモチベーション心理学」)。

 残念なことに、従業員の仕事を意義あるものにしようという考えさえ持たない企業があまりに多い。そしてマネジャーは、従業員が最大の能力を発揮するためには金銭的な報酬さえあればよいと見なす。しかし外発的動機(報酬や評価など)の効果は限られており、従業員の高い意欲や創造性を引き出すことはできない。一部の企業は、そもそもミッション・ステートメントがまったくお粗末だ。株主の利益や市場での競争力、もしくは品行方正を保つことのみを主眼としている。次の理念が、あなたの心に響くだろうか。

「当社の第一の目的は、事業運営に関する法律を遵守し、常に高度な倫理基準を維持しながら、長期的な株主価値を最大化すること」(ディーン・フーズ・カンパニー)

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