ビジネスのためのビジネスだけでは
もったいない。

スマイルズ・遠山正道さんインタビュー

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Soup Stock Tokyoなどを運営する㈱スマイルズ社長・遠山正道氏が『やりたいことをやるというビジネスモデル-PASS THE BATONの軌跡』を出版した。2009年に始めたリサイクルビジネス「PASS THE BATON」の軌跡を描いたものである。書名に込められた意図を聞いた。

 

「やりたいこと」が確信になるまで、とても大変なんです。

――本書『やりたいことをやるというビジネスモデル-PASS THE BATONの軌跡』は、リサイクルショップのPASS THE BATONが軌道に乗り出したタイミングとして出版されたのでしょうか。

遠山 いえ、正直に言うとたまたま、そういうタイミングになったんです(笑)。実は書籍出版のお話を頂いたのは2年くらい前ですので、PASS THE BATONがまだビジネスとして自立できるかどうか危うい段階でしたね(笑)。

 ただ、利益が出る前までも、自分でPASS THE BATONはとても意義のある、価値のある仕事だと思っていました。コンセプトとか、お客さまの声もそうですし。私自身が客観的に見てもいいと思えるものでした。問題は利益が出ていないことだけ(笑)。これが大問題ではあったんですが……。

――本書を読むと、PASS THE BATONがどのようにして生まれたかがよくわかります。

遠山 はい、逆にいうとこれといった象徴的な出来事があって始めたビジネスではないんですね。いくつかのいろんなきっかけがあって生まれたものなんです。もちろん、一号店となった丸の内という場所に出店しないかという話が来たのは大きかったです。それにネクタイブランドのgiraffeをやっていたことも大きかったですね。でもそれだけではない。ときめいた瞬間やひらめいた瞬間がいくつもあり、これらがいくつも重なって、「リサイクル」というビジネスに結びついていきました。「やりたいこと」が確信になるまでというのも大変なんです。

 リサイクルという事業自体は普遍的で新しいビジネスではありませんし、本来誰でもやるべき“たしなみ”のようなものだと思います。しかし、ペットボトルの回収やソーシャルな仕組みづくりとは違ったやり方があるようにも思っていました。そして我々スマイルズのような、ファッションやカルチャーを得意とする組織が、自分のフィールドで語れるリサイクルってなかったなと思ったんです。

 当然、初めてやることで経験もないですから、自分でも不安があります。でも「やりたいこと」が確信に変われば、「よしこれで行こう」となります。「やりたいこと」がちょっとした思いつきで、やる意義にまでならないようだと、ビジネスにまで持っていけないと思うんです。

 さらっと「やりたいこと」が出てくるわけではない。それを読んで理解してもらえればと思います。

――いまのお話しの中に、「採算性」や「事業規模」という言葉は出てこないんですね。

遠山 そうですね、「これは当たるかも」とか「いまこれが流行っている」と言った外的なものだと自分で確信が持てないんです。仮に始めたとしても、うまくいかない時に踏ん張れないような気がしますし、他の人から「もうやめた方がいい」と言われても、うまく説得できないと思います。

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