5つの問いでわかる、
イノベーターを活かす企業・殺す企業

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3.経営上層部か取締役会の中に、イノベーションの実務経験を持つ人はいるだろうか?
 経営陣の中に、イノベーションに伴う試練や苦難について身を持って知る人がいれば理想的だ。たとえば、インテュイットの創設者であるスコット・クックがプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)の取締役会に加わったことで、P&Gのイノベーションへの取り組みが加速した。景気の低迷、そしてイノベーションをテコにした成長への取り組みを体系化する苦労に直面するなか、クックの個人的な情熱とイノベーションの経験が支えとなった形である。経営陣が1つの業界で一生を過ごしてきた人ばかりで、破壊的な変化に初めて直面するような場合は注意しよう。取締役会が彼らの仲間で占められている場合には、なおさらである。

4.知的好奇心が、企業文化の一部となっているだろうか?
 一部の企業は好奇心を奨励し、業界内だけでなく異業種の企業からも学ぼうと努め、新たなアプローチをすすんで試そうという意欲を示す。そうした企業は、自社がすべての答えを持っているわけではないと知るだけの謙虚さを持つ。イノベーターにとって、過度に閉鎖的で好奇心に欠ける環境は望ましくない。これまでと異なるアイデアは拒否されるか、馴染みのものと似るように変えられてしまうことが多いからだ。知的好奇心を持つ組織であるかどうかは、異業種が集まる団体や会議への参加、非実用的な学術研究への投資などに表れる。また、失敗に終わったイノベーションの取り組みを精査し、そこから有用な教訓を引き出そうとする。「商業的な失敗には、どのように対処しますか?」という質問は、その組織の好奇心を測るよい方法となるだろう。

5.その企業には、修復しようとしている問題があるだろうか?
 できれば、自社がどの分野で問題を抱えているかをわかっている企業に加わるとよい。競合企業をいつまでも追い抜けない。ある市場に参入する必要性を認識しているが、そこで勝ち抜く方法がわからない。破壊的技術が市場の本流にまで迫っており、もはや無視できなくなっている――。このような状況であれば、イノベーションのインパクトを実証できるようなプロジェクトが求められるであろう。

 もしあなたが、ある企業の一員となってイノベーションに取り組むべきかを検討しているのであれば、その企業に上記の条件がいくつ合致するかを考えてみるとよい。1つ欠けているくらいは問題ないだろう。だがそれ以上であれば、1年も経たないうちに、次の転職口を探すことになる可能性が高い。


HBR.ORG原文:Should You Take That Innovation Job? May 27, 2013

 

スコット・アンソニー(Scott Anthony)
イノサイト マネージング・ディレクター
ダートマス大学の経営学博士・ハーバード・ビジネススクールの経営学修士。主な著書に『明日は誰のものか』(クリステンセンらとの共著)、『イノベーションの解 実践編』(共著)などがある。

 

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