5つの問いでわかる、
イノベーターを活かす企業・殺す企業

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イノベーターにとって、自分の起業家的創造力をどの環境で発揮すべきかは重要な問題だ。自身のベンチャーに専念すべきか、それとも大手企業に手を貸すべきか。その企業でイノベーションを実現できる見込みは、どのくらいあるか。そうした判断を助けるためのチェックリストを、アンソニーが紹介する。


 あなたが小さな新興企業で、ある程度の期間働いているとしよう。すると資金の豊富な大企業が、当社のイノベーション・チームに加わらないか、とあなたを誘いに来た。さて、この仕事を受けるべきだろうか? 自分の起業家的創造力を、資産豊富な、より安定した環境で活かすチャンスだろうか? それとも、結局は官僚主義のなかで溺れてしまい、手に汗握る新興企業のスピードを懐かしく思い出すことになるのだろうか?

 我々イノサイトも、イノベーション関連の仕事を引き受けるにあたっては常に同様の心配をする。2009年以来、我々は約100社の大企業と、500近いイノベーション関連のプロジェクトを行ってきた。その経験を基に、イノベーションの取り組みがどの程度の効果を上げそうかを契約締結前に判断するための、チェックリストを考案した。以下の5つの問いは、イノベーターが最高の仕事をするために必要な文化やペース、不確実性を、企業がどれだけ受容できるかを示すものだ。

1.その企業は「健全だが、懸念を持っている」だろうか?
 当然のことながら、あなたは成長している企業か、少なくとも財務的に安定した企業に加わりたいだろう。危機の最中にある企業では、イノベーターが成功するのは難しい。なぜなら、経営陣の関心は圧倒的に、目の前の逆境に向けられているからだ(それは正しいことだ)。一方で、すべてが順調に運んでいる企業は、イノベーションの必要性を感じていない可能性が高い。これが「イノベーターのパラドックス」である。イノベーターが重宝されるためには、現状維持が大きなリスクになることを認識しており、イノベーションに伴う不確実性を引き受ける覚悟がある企業を選ぶ必要がある。イノベーターにとって最適な場所は、業界の構造変化を示す予兆を上回るペースで変革の取り組みを進めている企業にある。

2.幹部はイノベーションに本気で取り組もうとしているのか、あるいは口先だけなのか?
 この問いに関しては、外部から判断するのは難しいかもしれない。だが、最もわかりやすい判断基準は、幹部がイノベーション関連事項にどの程度時間を費やしているかである。四半期に1度イノベーション会議を開くだけなら、注意したほうがいい。イノベーションは多くの企業にとって不自然な行為だ。したがって、経営トップが深く関与していなければ、イノベーターは苦労することになる。大まかにいえば、上級幹部が20%未満の時間しか割いていない物事は優先事項ではないと考えられる。上層部にいる誰かが、少なくとも週に1日はイノベーションに費やしているかを確認するとよい。

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