優れた組織文化には、3つの柱がある

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数々の巨大製薬会社を危機から救ってきた、経営再建の名手フレッド・ハッサン。彼は変革の旗手として、どのように影響力を振るってきたのか。その手法の根本には、優れた組織文化を築く努力があった。筆者の実体験をもとに、「文化を通じた改革」の要諦を示す。本誌2014年1月号(2013年12月10日発売)の特集「人を動かす力」関連記事、第6回。


 経営幹部や役員が事業成果について話し合う時、中心的なテーマとなるのはたいてい次のような事柄だ。現在の市場の状況、M&Aの機会、資本政策、生産性向上――。こうした要因が重要なのは間違いない。しかし私の経験からすると、従業員が深く関与し、一丸となって勝利を目指そうという機運が組織の中で高まれば、それらの要因を最もうまく活用できる。

 私は6件の経営再建や組織変革を主導してきた経験から(シェリング・プラウ、ファルマシア、ファルマシア・アップジョン、ワイス、そしてノバルティスの2つの事業部門)、長期的な成功には組織文化が大きく寄与することを知った。だが多くの経営トップは、文化を最優先事項に据えようとはしない。この状況を何とかしたいと思い、私はReinvent: A Leader’s Playbook for Serial Success (2013年、未訳)を執筆した。

 企業のチームに属する誰もが、互いに協力し努力すれば、可能と目されている以上の成果を出すことができる。そのためには、当事者意識、責任感、継続的学習の3つを志向する文化を通して従業員が強い目的意識を持つ必要がある。

 1997年に私がファルマシア・アップジョンの新CEOとして着任した時、同社は合併の悪影響できわめて困難な状態にあった。その一因は、まとまりのない指揮系統である。事業を統括する「ビジネス・センター」がストックホルム、ミラノ、ミシガン州カラマズーの3カ所にあり、さらに「マネジメント・センター」がロンドン近郊のウィンザーに新設されていたのだ。これは1995年の合併交渉の過程で決められたことだった。社内の派閥主義が会社を蝕んでいた。

 従業員に組織一丸となって働いてもらうために、私たちはこれら4つのセンターをすべて廃止し、ニュージャージー州にスリム化したオペレーション本部を設置した。同時に、経営陣の数を半分に削減した。これにより、「文化への抵抗者」――建設的な変革に反対する上級幹部たち――の一部を追い払うことができた。その後ファルマシア・アップジョンは驚異的な再建を成し遂げ、2000年にモンサントと合併し、時価総額3倍の520億ドル企業となった。

 文化を通じて組織を再建するために、私は以下のような手順を用いてきた。

●何を期待するかを、明確に示す
 再建の道筋を示し、大胆な戦略を設定して、従業員たちから変革を導く承認を得る。そうすることで従業員側にも、必要な犠牲を払う心構えを持ってもらう。

●前向きな態度や行動の範をみずから示す
 CEOを筆頭に、リーダーはチームに対して望む誠実な仕事ぶりを、みずから体現しなくてはならない。

 私が関わってきた企業では、期待されるべき行動を5つか6つにまとめ明文化してきた。皆が行動様式を共有し、学び、革新し、個人としてもチームの一員としても成長できるようにするためだ。2009年にシェリング・プラウの韓国ソウル支社を訪問した時に、現地のチームがこの行動リストを見事に取り入れているのを見て感銘を受けた。経営上層部の言動が信頼できるものだったのでそうしたのだ、と彼らは説明した。

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