組織に新しいアイデアを広める7つの方法

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アイデアで人を動かし変革を導くのが、ジョン・ブットマンの提唱する「アイデア・アントレプレナー」だ。その手法を使えば、知名度も権力もない一介の社員でも組織を変えることができるという。本誌2014年1月号(2013年12月10日発売)の特集「人を動かす力」関連記事、第3回。


 新しいアイデアは、人々を魅了する。それが心に響くものであれば、私たちの考え方と行動に影響を及ぼす。私はアトゥール・ガワンデ(チェックリストを提唱する医師)に心から納得を覚える。グウィネス・パルトロー(健康的な食生活を呼びかけている)によって、行動の改善を促される。なぜ彼らのアイデアは、ほかのアイデアと違い私に影響を与えるのだろうか?

 特にビジネスの世界には、新しいアイデアがあふれている。あまりに多すぎて処理できず、評価もできない。

 あなたが組織やコミュニティに、新しいアイデアを持ち込もうと試みたことがあるなら、容易ではないことはおわかりだろう。それが持続可能性や多様性、革新性といった抽象的なものであればなおさらだ。あなたのアイデアは無視されるか、鼻であしらわれるか、あるいはただ盗まれるだけかもしれない。努力は徒労に終わり、評判は落ち、自分の将来も危うくなるかもしれない。

 それでも、温めているアイデアに価値があり、物事をよい方向へと変えられると思うなら、名状しがたい衝動によってそれを公表し広めたくなるだろう。現状を支配する考え方を変えたいと望み、そのために多少の危険を冒してもかまわないという覚悟が生まれるのだ。

 問題は、ガワンデでもパルトローでもないあなたが、強い公式の権限を持っていない場合に、どうすれば組織を内側から変えられるかである。

 そこで、「アイデア・アントレプレナー」ならばどうするかを見てみよう。彼らは文化の創造に携わる、新種のプレーヤーである。大勢の聴衆にリーチして広範な影響力を獲得する、アイデア志向の人たちだ。たとえばガワンデやパルトロー、マイケル・ポーラン(食生活の改善を提唱)、シーザー・ミラン(カリスマ・ドッグトレーナー)、ブレイク・マイコスキー(靴メーカー、トムスの創業者。ビジネスが慈善事業を兼ねている)などがいる。

 彼らは個人事業を運営し、収入は豊かで、有名人だ。本を出版し、テレビ番組にも登場する。そんな彼らがアイデアを広める手法は、オフィスで働く人や組織活動を行う市民、マネジャーや経営幹部にも適用できるのだろうか? 答えは、イエスだ。ただし、いくらか調整が必要になる(前々回の記事を参照)。

 具体例として、サマンサ・ジョセフを紹介しよう。彼女は記録保管・情報管理サービス企業の大手であるアイアン・マウンテンで働いている。若く情熱的で、アイデア志向だ。サマンサは、営利企業は社会・環境の持続可能性に関して戦略的なアプローチを取れば、大きなビジネス価値を創出できると考えていた。2009年にMIT(マサチューセッツ工科大学)でMBAを取得したが、持続可能性を追求できる職は得られなかった。そこで、戦略担当マネジャーとしてアイアン・マウンテンに入社する。同社に持続可能性を推進する機能はないと知っていた彼女は、ゼロから立ち上げることを目標とした。

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