どんな仕事にも「やりがい」を見出すことは、
可能なのか

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仕事への意義、やりがいを感じることの重要性は、数々の研究で実証されており、直感的にも理解できるものだ。しかし実際のところ、「やりがい」なるものの正体は何なのだろうか。どんな仕事にも意義を見出すことは可能なのだろうか。そのヒントを示す事例を紹介する。


「人生で最も貴重な恵みは、やりがいのある仕事に尽力できる機会である」――セオドア・ルーズベルト、1903年9月7日

 109年前にレイバー・デー(労働者の日)の演説でセオドア(テディ)・ルーズベルトが述べたこの言葉は、今日でも変わらず真実味がある――やりがいのある仕事は、人生を大いに豊かにする。我々の研究では、自分の仕事を有意義であると感じ、その仕事で進捗を得ることが、人々の日々の職務経験を飛躍的に充実させることが明らかになっている(本誌2008年3月号「知識労働者のモチベーション心理学」)。それでは、仕事を「有意義」にするのは何なのだろうか。

 たとえば病気の治癒のように、疑う余地がなく有意義なものもある。また、人々の生活の質を向上させる製品を発明・製造することも同様だろう。しかし、あらゆる仕事に意義があるのだろうか。我々の研究は、知識労働者(高度な教育を受け、創造性を必要とする仕事に従事し、複雑な問題に対処する人々)を対象にしたものだ。それゆえ読者の中には、我々の発見がサービス業または肉体労働の従事者にも適用できるのか、と質問してくる人も多い。適用できる、と我々は考えているが、それにはある条件が伴う。すなわち、自分にとって大切な何か、または誰かに対して、自身の仕事が貢献していると感じる場合のみである。

 人気のデザイナーズホテル・チェーン「ジョワ・ド・ヴィーヴル」(Joie de Vivre:フランス語としての意味は「生きる喜び」)の創設者であるチップ・コンリーは、TEDでこの点について明確に述べている。彼は1つ目に買収したホテルで働いていた、ベトナム移民の客室係ビビアンについて語った(日本語字幕付きのTED動画はこちら)。彼女は自分の仕事に喜びや意義を見出している。しかしいったいどのようにして、客室のベッドメーキングやトイレ掃除といった仕事に喜びを見出すことが可能だったのだろうか。

 コンリーは言う。ビビアンは、同僚たちや滞在客との心の交流に、大きな喜びを感じていた。自宅から遠く離れた場所に来ている滞在客に、居心地のよい思いをしてもらうことが、彼女の喜びだった。なぜなら、故郷から遠く離れるという経験について、自身がよく知っていたからである。ビビアンは仕事に意義を見出して、他の多くの客室係と同様、一生懸命に働いていたという。

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