日本の職場は、いまなお女性が働きにくい

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本記事でヒューレットは、日本における女性人材のハンデを取り上げる。記事中の一部の考察は、時代錯誤に思えるかもしれない。しかし、世界経済フォーラムが10月に発表した「男女格差報告」における日本の順位をふまえれば(136カ国中105位)、企業が改善すべき余地は多くあるだろう。


 日本経済には危機が迫っている。長らく続く不景気や、3月に起こった壊滅的な地震と津波だけでなく、労働力を大幅に衰退させる高齢化の問題もある。この国は生産性向上のための画期的なアイデアを、今まさに必要としている。

 実は、解決策はすでに存在している。まだ有効活用も後押しもされていない、女性労働力だ。ゴールドマン・サックスの2010年の調査では、「日本が雇用における男女不均衡を軽減できるなら、労働力は820万人拡大し、GDPは最大15%増加するだろう」と指摘されている。

 だが、センター・フォー・ワーク・ライフ・ポリシー(CWLP)の新しい調査結果“Off-Ramps and On-Ramps Japan: Keeping Talented Women on the Road to Success”(「日本における女性の休職・離職と職場復帰――企業が有能な女性の成功をサポートするには」)によれば、日本では大卒女性の74%が、自分の意志で半年以上職場を離れている。この数字は、アメリカ(31%)とドイツ(35%)の2倍以上だ。この大量の頭脳流出は、日本社会に深く根付いた道徳観が企業文化に反映され、女性の労働の阻害要因となっているためである。

 日本では女性に対して、「良妻賢母」の役割を第一に求める伝統がある。多くの企業では、ほとんどの女性は結婚すれば仕事を辞める(「寿退社」と呼ばれる)ものと考えられているため、大卒女性は自動的に「オフィスレディ」として脇道に追いやられ、将来性のない補助的な役割を担う。男性管理職のためにお茶を入れ、彼らの机を掃除し、仕事のあとの宴会ではお酌をする。最近では、「総合職」として出世コースに乗る高学歴女性が増えてはいるものの、男女の所得格差は大きい。平均すると、女性は同等の仕事に就いている男性の72%の報酬しか得ていない(2011年のOECDデータによる)。

 花形の任務が男性に優先的に渡る。たいして有能でもない男性の同僚がすぐに昇進する。自分の功績が別の従業員のものになる――。こうした経験をしていれば、女性がしばらくは仕事を離れ、家族に専念しようと決心するのも無理はないだろう。CWLPが調査対象とした日本の大卒女性のうち、キャリアへの不満を理由に離職した人は63%、キャリアに行き詰まりを感じて離職した人はほぼ半数を占めていた。

 そして女性たちは、何年もの間スキルを磨き、経験を積み、信用を築いた挙句、それらが水の泡になるのを望んでいるわけではない。離職した女性の77%が、職場復帰を望んでいる。

 しかし、復帰のための努力は壁に突き当たる。仕事を得ることができたのは43%(アメリカは73%、ドイツは68%)で、運よく復職できた女性でも、地位や昇進に関しては深刻なハンデを被っている。ほぼ半数が給与を削減され、多くがマネジャーとしての責任を減らされ、昇進の見込みも制限されていた。

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