新興国の女性が直面する、悲惨な通勤事情

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大都市圏における通勤渋滞は各国で見られるが、新興国の女性従業員は、より悲惨な通勤地獄に直面している。それは、身の安全やキャリア形成にまで影響を与えるという。企業はこれを改善するために、何ができるか。


 新興国市場の労働人口には、過去10年で何百万人もの女性が加わった。さまざまな困難と向き合うことに慣れている彼女たちだが、いまだに毎日の通勤ほど、厄介で腹立たしく、屈辱的なものはない。新興国市場での収益アップを望む企業が、従業員への義務として念頭に置いているのは、職場環境の改善に限られているだろう。だが、女性従業員がそもそも職場に来られないとしたら?

 我々の新刊Winning the War for Talent in Emerging Markets: Why Women are the Solution(HBR Press、未訳。「新興国の女性人材を獲得する方法」)では、これを深刻な問題として取り上げている。新興国の大都市圏では、通勤地獄が日常だ。IBMが世界の20都市を対象に実施した「自動車通勤の苦痛度に関する調査」では、北京とメキシコシティの「苦痛度」は99点(最悪は100点)で、ニューデリー、モスクワ、サンパウロが僅差で続く(※訳注)。北京に住む回答者の84%は、混雑、けたたましいクラクションの音、毎日の渋滞による心身の疲労が、職場でのパフォーマンスを低下させているとした。モスクワで日々激しい渋滞に巻き込まれているベテラン・ドライバーたちに、「過去3年間で経験した最悪の渋滞時間は?」と聞いてみたところ、答えの平均は「2時間半」だった。

「道路も交通事情もひどいものです」と、インド・バンガロールのITマネジャーは嘆く。「時間のムダだし、ストレスがたまります。在宅勤務の日はずっと仕事がはかどるんです」

 また、新興国で通勤地獄にさらされている人々のなかには、特定の集団がいる。公共の交通手段を使う女性たちだ。センター・フォー・ワーク・ライフ・ポリシー(CWLP)の調査によれば、からかわれる、野次を飛ばされる、つねられる、痴漢行為をされるなどのいやがらせは日常茶飯事だという。ロシア、中国、アラブ首長国連邦の女性の3分の1が、公共交通機関で自宅と職場を往復することは安全ではないと感じている。ブラジルではこの数字は、62%にものぼる。米国国際開発庁(USAID)によるインドでの最近の調査では、通勤に対する悩みは、女性が仕事を辞めようと考える第一の理由だった。

 しかし、賢明な企業は、以下のようにさまざまな方法で、従業員へのサポートを強化している。

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