顧客の怒りを感動に変えた
ジェットブルーの驚くべき対応

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 このようなことが「レガシー・キャリア」と称される既存の大手航空会社で起きると想像できるだろうか? 私は想像できない。ただ、ジェットブルーがそうしてくれたことに、それほど驚く必要はなかったかもしれない。『エグゼクティブ・トラベル』誌によれば、ジェットブルーは、米国航空業界における顧客ロイヤルティのリーダーとしてサウスウェストと互角の評価を得ている。ベインの同僚フレッド・ライクヘルドと私は、両航空会社をサービス重視の企業事例として新しい本で取り上げている。両航空会社とも、例えば、たとえ晴天の飛行日和であっても顧客を怒らせるような種の「悪しき利益」を避けるために懸命な努力をしている。

 ハリケーンは、サービスの徹底を訴求している航空会社の文化が現場の従業員にも真に根づいているのか、あるいは単なる広告コピーにすぎないのかを測る、最良のテストである。

 ハリケーンのように明らかな脅威によって旅程が狂わされることについて、ほとんどの旅客が怒るのはなぜだろうか? 彼らは専門家の忠告を無視し、自身と子供達を飛行機にくくりつけ、嵐の中へと飛びたって行くことを望んでいるのだろうか?

 もちろんそうではない。

 疲労困憊している時に、いいかげんな情報提供や失礼な態度を取られることに対して怒っているのだ。公平に考えれば、苛立っているゲートの係員にとっても嫌な日なのである。衝突は避けられないだろう。

 だからこそ、顧客サービスを最優先する多くの企業が、顧客ロイヤルティと同じシステムを用いて従業員の関与度合いを測定し推進している。ジェットブルー、アップルリテール、ラックスペース、そして私自身のコンサルティング会社でさえ、サービス主義の企業は従業員と顧客からのフィードバックを得るために共通した基本プロセス、言語、そしてフレームワークを用いている。

 その日私が話をした担当者は、明らかに懸命に働いていた。のみならず、彼女は顧客の問題を解決することにより、罵声を浴びるのではなく顧客から感謝された。ジェットブルーは、キャシーのような担当者を、顧客を喜ばせられるようなポジションに配置することに真剣な努力を尽くしており、それはアイリーンのような危機迫る状況下に限ったことではない。人材採用の段階から細心の注意を払い、従業員が一貫して顧客からの褒め言葉や感謝を得るためにどのような支援が可能であるか、定期的なフィードバックを求めるようにしている。

 それは、その会社で働く格好の理由となる。

 もちろん、ジェットブルーについて本に書いたからには、私は彼らの内部事情について一般的な顧客よりもよく知っている。次の記事では、ジェットブルーのような企業がどのようにして従業員関与を顧客ロイヤルティと同等に扱っているかについてより詳細に述べよう。

 だが、もし私が、キャシーがハリケーン・アイリーン中に私の家族を助けることに尽力してくれた理由や背景を知らなかったとしても、この話は彼らの宣伝をしているように聞こえるだろう。それはどの企業も顧客に望んでいることではないだろうか?


HBR.org原文:Twitter, Travel, and the Power of the Engaged Employee September 27, 2011

*本連載は、ロブ・マーキーがフレッド・ライクヘルドと共著した『ネット・プロモーター経営』の中身をハイライトしたものです。
*第6回は11月22日公開予定。

 

ベイン・アンド・カンパニー(Bain & Company)
1973年に創設。世界32ヶ国に50拠点のネットワーク、約5700名を擁する世界有数の戦略コンサルティングファーム。クライアントとの共同プロジェクトを通じた結果主義へのこだわりをコンサルティングの信条としており、結果主義の実現のために、高度なプロフェッショナリズムを追求するのみならず、きわめて緊密なグローバル・チームワーク・カルチャーを特徴としている。
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