「多様性がもたらす緊張」をうまく活用する方法

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世界に進出する企業やグローバル人材を受け入れている企業にとって、ダイバーシティ(多様性)は一考に値するマネジメント課題ではないだろうか。コーチングの大家ゴールドスミスが、「多様性がもたらす緊張」をうまく活用して成功する秘訣を伝授する。


 ビジネスリーダーにとって、世界各地の文化と思考様式の豊かな多様性は、非常に貴重なリソースとなる――ただし、それを正しく活用すればである。アイデアや方法、動機、能力などの違いを利用して、偉大な組織をつくることができる。しかし、この素晴らしいリソースは諸刃の剣にもなる。異文化間の交流から誤解や過ちが生じる可能性は無限にあるからだ。

 企業が成長し、世界に事業を拡大すれば、職場のダイバーシティも増えていく。成功している組織では、さまざまに異なる経歴、文化、スタイル、動機を持つプロフェッショナル人材を見つけて採用し、多くの権限と責任を伴うポジションを与えるべくトレーニングを行っている。

 さまざまな経歴を持つ人材を擁する組織が成功するためには、「ダイバーシティ・テンション」(多様性がもたらす緊張)にうまく対処できるリーダーが必要である。ダイバーシティ・テンションとは、人々のあいだに相違と類似が混在する場合に生じるストレスと緊張のことを言う。グローバルなビジネス環境で働くリーダーの任務は、この緊張を緩和することではない。むしろ変革への創造的な原動力として利用すること、そして人々の属性の違いや共通点、そこから生じる圧力に囲まれながら、効果的な意思決定を行うことだ。

 従業員が、偏見を抱かずに他者を理解し、要求を正しく把握し、ダイバーシティ・テンションにうまく対処できるようにお膳立てと後押しをする――これができれば、リーダーは生産性を高め、より大きな成果を上げることができる。さらに、これらの能力をリーダーが備えているだけでは十分ではなく、組織全体に根付かせることが必要だ。

 では、職場にポジティブなダイバーシティ・テンションを生み出すために有効な、最初のステップは何か。1つは、一緒に仕事をする人たちの文化的な基盤や視点について、一切の先入観を持たないようにすること。もう1つは、歴史や政治、経済に関する記述を参照するなどして、多様性のダイナミクスを理解すること――つまり、多様性が職場にどう影響するか、同僚の世界観、生活とコミュニケーションのスタイル、倫理観、礼儀作法にどう影響するかを知ることである。

 ポジティブなダイバーシティ・テンションを生み出すには、文化を形成する大小さまざまな要因に対する理解が求められる。たとえば、リーダーシップと仕事のスタイル(例:堅苦しいものか、くだけたものか)、意思決定のスタイル(例:直感的か、分析的か)、情報共有の方法(好まれるのは文書か、口頭か、対面式か、テキストメッセージやメールか、ビデオ会議か)、働く動機(権力か、達成感か、仲間意識か、金銭的報酬か)、などがある。とはいえ全員の考え方を把握する必要はない。要は目標や任務を達成する方法、見解、スタイルは人それぞれであるという事実を受け入れることだ。

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