社員のモチベーションを高める、絶妙なさじ加減

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モチベーションは大別すれば、「内発的動機」(仕事への関心や満足など)と「外発的動機」(報酬や評価など)の2種類によって誘発されるという。これらを誤った方法で適用し、社員の意欲と創造性を殺しているマネジャーは少なくない。4つの要因を巧みに組み合わせて、社員の創造性を高める方法を紹介する。


 一般的に、マネジメントはイノベーションの敵と見なされている。過剰な管理がイノベーションを抑圧し、たくさんのアイデアの芽を摘む、という考え方だ。しかし、我々の研究によれば、実情はもっと繊細なものである。イノベーションを活かすマネジメントは実際には可能だが、それにはまず、社員――明日のイノベーションにつながる斬新なアイデアを考え出し、発展させる役目を担う人々――の創造性は何によって引き出されるのかを、知ることから始める必要がある。ところが、イノベーションを無意識に殺してしまっているマネジャーがあまりにも多い。社員から意欲を引き出すために、アメとムチに依存しすぎているのだ。

 人は、内発的動機(仕事そのものへの興味、喜び、満足、やりがい)を持つ時に最もクリエイティブになることが、30年以上にわたる研究で明らかにされている。しかし、組織におけるモチベーションの問題は厄介なものである。つまり、ほぼ誰もが、さまざまな外発的動機(報酬、賞与、評価、失敗への恐怖など)にも影響されているからだ。外発的動機の多くは、内発的動機と創造性を削いでしまう。しかしなかには、慎重に活用すれば意欲と創造性を促進できるものもある。すべてはバランスの問題だ。

 賢いマネジャーは、創造性をうまく引き出しイノベーションへとつなげる以下の4つの要因を、バランスよく活用する方法を知っている。

●目標
 戦略的な目標がぼやけているうえに、達成する手段に対する制約が厳しすぎる場合、創造性は損なわれる。解決すべき問題が何なのか、なぜそれが重要なのかを社員に理解させる必要がある。つまり、仕事に意味を見出さない限り、内発的動機は生まれないのだ。そのためには、意義ある目的につながる明確な戦略目標が必要になる。病気の治療や、消費者の生活を向上させる新しいエンタテインメントの提供など、何でもよい。しかし、何をすべきか、どの方法ですべきかをがんじがらめに指定すると、人の内発的動機と創造性は萎えてしまう。各人に固有の技術や能力を発揮する際に、自由裁量が必要なのだ。それゆえ、戦略目標は明確に示し、その達成方法については十分な自由を与えること。

●評価
 我々は企業を調査するなかで、査定へのプレッシャーが強い状況において創造性が低下する例をよく目にした。そのような状況下では、社員は批判的な反応を過度に恐れ、進んでアイデアを提供しようとしなくなる。興味深いことに、評価とフィードバックが著しく欠けている状況でも、創造性が低下する様子が見られた。この場合、創造性を要する仕事に従事する社員は、自分の仕事について誰からも理解されていない、または関心を持たれていないと感じている。

 ここで不可欠なのは、仕事に関する有益で建設的な評価・フィードバックを頻繁に行うことだ。その際、対象者の同僚と上司も交えオープンに話し合うことが理想的だ。社員に最も高次の創造性を発揮させるには、彼らの提案するアイデアを(たとえ採用しなくても)尊重している――熟慮するうえで役に立っている――ということを理解させる必要がある。また、特に有能なマネジャーはさらに一歩先を行っている。あるアイデアがうまく行かなかった時、その失敗を創造的な仕事に付きものであるとして許容し、そこから教訓とチャンスを見出すよう社員を促すのだ。

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