中国のアップルストア:
彼らが偽造出来ないもの

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2011年、中国で偽アップルストアが物議を醸した。だが、どんなにそっくりな製品を並べ、スタッフにユニフォームを着せたところで、本物には決してかなわないポイントがある。それが、顧客満足を組織的成果につなげる「ネット・プロモーター・システム」(NPS)である。NPSとは何か、どのような可能性を秘めているか。ベイン・アンド・カンパニーの連載(全11回)。

 

 中国の偽アップルストアに関して、ちょっとした混乱があったのをご存知だろうか?(注:2011年8月の原稿執筆時点)

ロブ・マーキー
(Rob Markey)

ベイン・アンド・カンパニー、ニューヨークオフィス パートナー
顧客と従業員のロイヤルティを通して、クライアント企業が収益ある持続可能な成長を実現するためのコンサルティングを行う。ベインの顧客戦略・マーケティングプラクティスを統括している。主な著書に、フレッド・ライクヘルドと共著した『ネット・プロモーター経営』がある。

 自身を「BirdAbroad」と称する1人のブロガーが、象徴的なアップルストアとほとんどそっくりな小売店を発見した――らせん状の階段を備え、壁にはアップル社製品が並び、スタッフは青いTシャツを着てアップルの名札を付けている。では、なにが問題なのか? その店舗は、中国の南西地方にある都市、昆明にあったのだ。アップルがこれまでに中国で出店した地域は、北京と上海のみのはずだ。

 まもなく、熱心な調査員たちが中国中にある偽(シャンツァイ)アップルストアの実態を暴き始めた。このエピソード全体は、中国において商標やその他の知的財産を守ることの難しさを物語るケーススタディとして扱われるようになった。

 ただ我々が思うのは、本物のアップルストアと偽アップルストアは、少し比べただけですぐに判ってしまうのではないかということだ――なぜならば、決して本物のアップルストアの真似をできないであろうポイントがあるからだ。それは、顧客への真の献身である。

アップル・リテール――本物のアップルストアの運営母体――は、すべての顧客に最高の体験を提供するために多大な投資を行ってきた。新入社員は、3週間のトレーニングを経て初めて顧客とひとりで接することが出来るようになる。「当社を友人や同僚に薦める可能性は、どのくらいありますか?」と問いかける顧客調査を定期的に実施することで、ストアマネジャーに店舗のパフォーマンスに関するデータやコメントが絶え間なく届く。ストアマネジャーは、不満を持つ顧客全員に電話をかけ、何がいけなかったのか、どのようにすれば改善できるのか、を究明する。

 これらの電話や顧客からのコメントは、店舗スタッフの指導とフィードバックの際に極めて重要なメッセージとして店舗スタッフに伝達される。フィードバックは、すべてのシフトの打ち合わせ(アップル内では「日次ダウンロード(daily download)」と言われる)において従業員間で必ず確認し、確実に彼らの日常業務に反映されるようにしている。

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