第6のメガ・トレンド
ビジネスのグローバル化

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第2の分野「人口動態と富」、最後のメガ・トレンドは「ビジネスのグローバル化」である。もはやサプライチェーンはグローバルに伸び、相互依存性は高まる一方である。それはすなわち、自国以外の政治や文化、自然災害その他の影響を受けるということである。2040年の世界を示すブーズ・アンド・カンパニーの好評連載、第9回。

 

第6のメガ・トレンド
ビジネスのグローバル化(Globalization of Business)

 ビジネスのグローバル化にはいくつかの課題があり、日本企業はそれらを苦手にしていることが多い。まず思い浮かべるのは、拡大するグローバル・サプライチェーンである。低コストな調達・生産を求めて、サプライチェーンは長く複雑に進化し続けている。先進国の多くの小売店では、Made in ChinaやMade in Thailandといった商品がふつうに販売されている。この傾向は、世界的にGDPの伸びより速い貿易の伸びに見て取れる(図表1参照)。相互依存性は増大し続け、国際関係・政治情勢、災害・感染症被害、文化・歴史問題、相手国の国内問題などに影響され、大きなリスクともなる。

 2011年のタイの大洪水によって日本のメーカーの多くが大きな被害を受けたが、直接的な浸水の被害だけではなく、原材料や部品の生産がストップしたことによる間接的な被害も大きかった。2002年には中国でSARSという感染症が発生し、渡航制限措置が取られたこともあった。こうした不測の事態に備えるためには、バックアップの生産・物流拠点を用意しておくことが必要になる。バックアップを用意するコストを乗せるとビジネスが成り立たないというほどに競争が苛酷だという場合もあるが、その場合はそのビジネスに踏みとどまり続けるべきなのかどうかを検討すべきであろう。

 米国のウォルマートは、海外に伸びたサプライチェーンを前向きにとらえている例である。中国などを中心とするアジアにおけるサプライヤーによって、自社の安定的な仕入れが可能になった。しかし一方で、それらのサプライヤーの事業規模は得てして非常に小さく、短期的な景気変動に影響を受け、資金繰りに枯渇して経営に行きづまることもあった。そこで、自社のサプライチェーンを構成している企業に対しては、調達の規模に応じて資金繰りの支援を行い、グローバルなサプライチェーンを安定させ、育成するという取り組みを始めている。単に安さを求めて条件交渉をするのではなく、資金の流れも含めて全体を管理し、サプライヤー網も安定させるという考えである。

 ビジネスのグローバル化に関して多くの日本企業が苦手としていることの1つが、グローバルな標準規格の地位を獲得することである。これまでは日本企業同士、もしくは先進国企業同士で合従連衡しながら、どうにか標準規格をすり合わせることができたかもしれない。だが、今後は最大の販売数量が出る中国やインドの企業が標準規格の帰趨を決めてしまう可能性がある。近年では電気自動車の充電器をめぐり、オールジャパン相乗りのチャデモという規格に対して、欧州系のコンボ規格と、さらに異なる中国方式とが争っている。技術的に優秀であれば標準規格になれるというものではない。逆にそれほど先進的でない技術のほうが新興国企業にとって採用しやすく、標準規格の座を事実上奪ってしまう可能性もある。

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