共有し巻き込む――
デジタル時代のCMOがすべきこと

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本誌2013年10月号(9月10日発売)の特集は「顧客を読むマーケティング」。これに合わせ、HBR.ORGから関連記事10編をお届けする。第5回は、デジタル時代にCMO(最高マーケティング責任者)が果たすべき役割について。ブランドのストーリーを、さまざまなソーシャル空間やモバイル機器でうまく展開するための指針を示す。


 CMO(最高マーケティング責任者)の第一の役割は今も昔も、優れたストーリーテラーになることだ。昔は、ブランド・プロミス(ブランドが約束する価値)について雄弁に語ることがこれに相当した。人々が応援できるヒーローや、自身に関連づけられるもの、信じるに値する何かを提供することである。そして、ストーリーを語るプロセスはとてもシンプルだった。広告を制作し、雑誌や新聞に掲載するか、テレビやラジオで放送すれば、それで終わりだった。しかし、今日では世界はまったく違うものになっている。ブランドについてのストーリーを、顧客が選び、方向づけ、制作さえするようになっているからだ。

 このため、ブランドと顧客が共にたどる道筋は、昔よりも多くの紆余曲折を経るようになっている。ウェブやソーシャルネットワーク、モバイル機器などのデジタル媒体に広がる道筋で、顧客は情報にアクセスし、決定を下し、製品を購入し、その経験をシェアし、ブランドについての意見やアイデアをシェアする。

 デジタルの道筋におけるこうした通過点が集まってモザイクを形成し、それがブランド・ストーリーとなる。これは何十億というやりとりの上に築かれるものだ。その過程で、ブランド・ストーリーはCMOの構想とはかなり異なったものになりうる。

 では、今日の「デジタルCMO」は、この新たな状況をどう歩んでいけばいいだろうか? ブランド・ストーリーをつくるうえで良き指針となる、シンプルなステップをいくつか紹介しよう。

1.異なるデジタル・ツールに合ったストーリーをつくる
 デジタルCMOは、顧客がどの機器を使ってもブランド・ストーリーと繋がれるように、多様なプラットフォームに対応しなければならない。投稿やシェア、タグ付けなどにブランドがどう組み込まれるかを配慮しよう。受け手にとって最も重要なツールを使い、ストーリーへの理解と共有を簡単にすることで、顧客をストーリーに関わらせるのだ。

 そして、異なる複数の機器で――ときには同時に、ときには順番に――ブランド・ストーリーをうまく展開することを考えよう。iPadなどのタブレットの使われ方は、デスクトップ・パソコンやスマートフォンとは大きく異なる。画面が非常に小さなスマートフォンとの違いをうまく考慮すれば、タブレットではブランド・ストーリーをシンプルかつ説得力のある形で提供できる。

 たとえば、化粧品販売を行うセフォラ(Sephora)は、店舗を案内するスマートフォン用のアプリを提供し、また従来型のeコマース用にウェブサイトも持ち、iPadではインスピレーションや発見をもたらす体験を提供している。また、同社のファンやフォロワーが、フェイスブックやピンタレストで積極的にシェアしたり、アドバイスを求めたりできるようにもしている。異なるチャネルに特化したそれぞれのデジタル・コンテンツには、共通のストーリーがある。すなわち、セフォラは「ビューティ・インサイダー」(美を追求する仲間)で、美容の最先端のトレンドを知悉し教えてくれる、仲のよい友人の1人ということだ。

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