起業から2年半たち、
Quipper学習プラットフォームが形になってきた

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DeNA共同創業者の渡辺雅之氏の連載5回目。Quipper設立から2年半がたち、ようやく事業のかたちが出来あがってきた。「プラットフォーム」という概念をつくるのは簡単だが、ゼロから作り上げるのはいかに難しいか。


 Quipperは最初からプラットフォーム型のサービスを目指している。

 つまり、学習コンテンツの「作り手」と「学び手」の双方を顧客として持ち、その中間に立って制作・配信・管理・課金などの各機能を提供する役割を担いたい。

 プラットフォームはゼロから立ち上げるのが難しい業態である。コンテンツがなければ学び手を集められないし、学び手が集まっていないところにコンテンツの作り手も来ないからだ。この鶏と卵のような関係を上手に発展させ、良循環を実現しなければならない。

 細分化された学習コンテンツを端から自力でつくっていくことが不可能な以上、幅広い「作り手」に利用してもらえるプラットフォームを目指すのは、サービス普及規模を狙う場合、必然となる。

 とはいえ、概念的な「プラットフォーム」を、どうやって実際のサービスに仕立てあげていくか、そしてどう広めていくかを考えると、なかなか簡単にはいかない。

 Quipperも2011年3月に最初のサービスを世に送り出して以来、「モバイル学習プラットフォーム」とは何かを探し求め、試行錯誤を繰り返している。いわゆるピボット(方向転換)をしたのも、1度や2度ではない。

 迷走は、自由記述やアンケート型、診断型、添削型といった多くの回答フォーマットを準備したが、あまりにも操作性が悪すぎて、断腸の思いで選択枝型一本に絞り、せっかくつくった多くの機能を封印したところから始まる。これを皮切りに、ゲーム要素を盛り込みすぎて賭博アプリのようになりつくり直したり、出版社に電子出版できます的な機能提供をして競合たちに敗北したり、人気サッカーチームなどにコミュニティツールとして提供したり、どんどん学習から離れていった時期もあった。その結果、システムが継ぎ接ぎだらけのキメラ状態になり、ゼロからつくり直して乗り換えるということまでした。

 しかし何度も壁にぶつかり方向転換を繰り返しているうちに、当初漠然としていたサービスイメージは次第に固まっていった。

 それでは、コンテンツ保有者(作り手)にとって理想的な学習プラットフォームとはどんなものだろうか。

 基本的に、教えたいという欲求がある人が作り手になるわけだから、何よりアプリやウェブを介して「自分の知識を簡単に披露できる」こと自体が嬉しい。だから何よりも、情報を学び手に配布するまでの登録や制作プロセスが簡単で利用しやすいことが大切だ。

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今月のDIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー