戦略的に時間を使い、不況期に昇給を勝ち取る

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仕事や人生をよりよいものにする秘訣のひとつは、「賢い時間の使い方」である――このことをブレグマンは、さまざまなエピソードを通して伝える。今回は、時間の使い方が昇給の成否を左右するという話。


 友人のデイブは、先ほど受け取った健康診断の結果に驚き、がっかりしていた。コレステロール値が高いのだが、自分の食事を考えると納得がいかないという。

「デイブ、冗談だろう」と私。「きみの食事はひどいよ。揚げ物ばっかりじゃないか。そうでなければ、チョコチップ・クッキーだ。きみが野菜を食べているのを見たことがない。コレステロールが高くないはずがないだろう」

「でも、健康診断の前日は気をつけたんだよ」と彼は答えた。

 すぐに結果が出る、というのは魅惑的な考え方である。ほとんどすべての広告は、この商品(それが何であれ)を買えば愛、成功、パワー、等々がすぐに手に入る、というメッセージを内包している。

 それは宝くじに対する衝動と同じだ。当たれば多くの問題がすぐに解決できる、と願いをかけながら宝くじを買ったことは、誰しも1度くらいあるだろう。健康な食事を1日しただけで、内臓の働きが変わると期待したデイブを本当に責められるだろうか。

 すぐに結果が出るという期待は、ほぼ常に裏切られる。宝くじに当たる人は、たしかにいる。しかしあなたがそうなる確率は、統計的に考えればほとんどゼロといえるのだ。

 この思いが頭をよぎったのは、ある取材を受けている最中だった。リポーターは私に、賃金が停滞もしくは下降傾向にあるこのご時世に、昇給を願い出ることについてアドバイスを求めた。願い出るのはやめたほうがいい、と私は答えた。

 いまは誰もが昇給の見込みがない、という意味ではない。この1年間に昇給の下地を築いてこなかったのなら、見込みは薄いということだ。たった1日か2日の準備で、魔法のように昇給を勝ち取れる公式も、言葉や地位も存在しない。

 しかし、長い時間をかけて昇給を勝ち取っていく公式はある。いまから始めれば、来年には昇給が見込めるかもしれない。

 この公式は、1つの単純な前提の上に成り立つ。自分が行った価値創造を証明すれば、お金が得られるということだ。そして、組織の上層部が重要視する仕事に多くの時間を注げば、より多くの価値を創造することになる。この方法によってほぼどんな場合でも、短期または長期の利益や収入を増やすことができる。

 すでにベストを尽くしている、という人もいるかもしれない。しかし、改善の余地はあるはずだ。私たちは仕事量にあえぎ、多くのことをやりすぎている。どうでもいいメールに返信し、必要のない意見を提案し、インパクトを生まない案件に時間をかけすぎている。有益な仕事よりも、手続き的な作業に追われている。誰もが、かつてないほど多忙なのは間違いないだろうが、最も重要なことを成し遂げていない時が多い。

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