無名ブランドを強く育てる4つのヒント

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本誌2013年8月号(7月10日発売)の特集は「起業に学ぶ」。これに合わせ、HBR.ORGから“起業の心得”をテーマに精選した記事をお届けする。第4回はブランディングについて。どんな有力ブランドでも、立ち上げ当初は弱小であったはずだ。無名ブランドを育て上げ開花させるための4つのヒントを紹介する。カギは、顧客が最も歓迎するもの――「シンプルさ」であるという。


 起業家は、物事が計画通りに進むことは滅多にないと知っている。ビジネスアイデアに人々を引き付ける努力をしながら、資金、経営資源、顧客を集めるために奔走する。その過程で「死の谷」を乗り越えられずに終わる起業家も少なくない。その一方で、ビジネスアイデアを有力ブランドへと発展させ大きな成功を手に入れる起業家も存在する。

 拙著Breakthrough Branding(2012年、未訳)の執筆において、さまざまな起業家を調査して彼らのブランディングの手法を分析した。そこから明らかとなったのは、事業や組織の規模にかかわらず、成功した起業家は、大胆かつ徹底的な「シンプルさ」をブランディングのプロセスに取り入れているということだ。

 私の調査によると、成功を収めているブランドは、シンプルさを追求するために次のことを行っていた。

●小さなアイデアに絞る
 誰もが大きなアイデアを生み出すことに関心を持つが、小さなアイデアのほうが有効である。ケビン・シストロムが初めに開発したアプリBurbnには、複数の機能が備わっていた。フォースクエアのような位置情報によるチェックイン機能、ジンガのようなソーシャルゲーム機能、そしてフリッカーのような写真共有機能を合わせ持つものだった。その後シストロムは、最も人々を引き付けた1つの小さな機能に的を絞った――写真共有機能である。低画質カメラで撮影した写真を流行のレトロ調に加工する写真共有アプリに、インスタグラムという新しい(そして響きのよい)名前を付けた。

●力強いビジュアルを取り入れる
 形、色、ロゴ、デザイン――市場で自社のブランドを際立たせる、特徴的なビジュアル要素を見つけるのが望ましい。ツイッターの鳥のロゴ、クリスチャン・ルブタンの「レッドソール」(同社のトレードマークである深紅の靴底)、果汁飲料〈ポム・ワンダフル〉の砂時計型の容器を思い出してほしい。ツイッター(鳥のさえずり)という名前の、140文字限定の短文投稿型コミュニケーションサービスにとって、ロゴに鳥を起用するのはいたって自然なことであった。サービス開始当初、予算を気にしていたツイッターの創業者たちは、iStockでシンプルな鳥のイラストを見つけて15ドルほどで購入し、それをロゴに起用した。創業者自身の手で独特の青緑色に色付けされたその鳥は、やがてブランドの象徴として広く一般に定着した。

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今月のDIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー