なすすべがない時、何をすべきか

1

何かに行き詰まって「万策尽き果てた」という時に打てる、有効な一手がある。それは健康法の継続や、スランプからの脱却、人間関係の修復など、人生のさまざまな問題に適用できる哲学でもある。


 私は以前、1年以上にわたり肘に腱炎を患っていたことがある。ドアノブをひねるような、ちょっとした動きでも痛みに顔が歪んだ。弟にして主治医でもあるバーティーが、私の治療にあたっていた。

 ある日、私はこの症状を治そうとして試みたすべてのことを、診察中のバーティーにあらためて伝えた。最初に痛みが出た時、イブプロフェン(鎮痛剤)を飲んだ。それが効かないとわかると、コーチゾン注入を2回、6カ月ごとに行った。その間、理学療法と超音波治療を試し、補助具を使い、毎日エクササイズをやり、アイシングをして、鍼治療やマッサージにも行った。ついには、多血小板血漿注入という実験的な療法にまで踏み切った。これは有名なアスリートが取り入れたことでメディアの話題を呼んだ療法だが、注射の痛みはすさまじく、私の症状を悪化させただけだった。

「何も効かなかったじゃないか」と私は文句を言った。
「ひとつ、アイデアがある。まだ僕たちが試してないことだ」とバーティー。
「何だろう?」あまり時間やお金がかからないといいが。
「いま、言ったこと。“何も”しないことだよ」

 バーティーは、今後6カ月間すべての治療をやめようと提案してきた。「いままでの努力は、症状を悪化させていただけなのかもしれない。数カ月、何もしないで放っておけば、きっと痛みは消えると思うんだ」

 にわかには信じられなかったが、やってみることにした。そして案の定、数カ月経つと痛みは消えていた。

 以前の記事で私は、しばらくの間何もしないでいることが、物事をよい方向へ変えるということを述べた。時には、これを極端なまでに徹底して、「ずっと何もしない」のが最善である場合がある。私の腱炎にはそれが有効だった。問題を解決しようとしないことが、問題解決の方法となる場合があるのだ。

1
無料プレゼント中! ポーター/ドラッカー/クリステンセン 厳選論文PDF
Special Topics PR
今月のDIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー
最新号のご案内
定期購読
論文オンラインサービス
  • facebook
  • Twitter
  • RSS
DHBR Access Ranking