売るための広告から、顧客を賢くする広告へ

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本誌7月号との連動企画として、HBR.ORGで展開された「広告の未来」特集から記事をお届けしてきた。これまでの連載では従来型の広告の限界が強調され、数々の新たな方法論が提唱されてきたが、最後となる第8回も広告の再定義を迫る提言だ。カギは販促ではなく「アドバイス」と「アデュケーション」――顧客の知識と能力を高めることであるという。


 現代の広告モデルはいかに劣化しているか――ジェフ・ベゾスのインタビューを聞けば、それがわかるだろう。彼はアマゾンのコア・バリュー(企業理念)がいかに誤解されているかを嘆いている――「初期の例は、カスタマーレビューについてです。ある人が私に次のようなメッセージをくれました。『あなたは自分のビジネスをわかっていませんね。物を売ることで利益を上げるはずでしょう。このようなネガティブなカスタマーレビューを、なぜ掲載するのでしょうか?』これを読んで私は思いました――当社は物を売って利益を上げるのではない。顧客の購買意思決定を助ける時に、利益を上げるのです」

 まさに正論である。ほとんどの企業は、広告、プロモーション、マーケティング、ブランディングへの投資と出費において、「顧客を支援する」ことではなく「物を売る」ことを主眼としている。顧客はどちらを望んでいるだろうか。アマゾンは正しいほうに投資している。顧客は愚かではないので、何が売られているかはわかっている。オンラインの力を活用できる賢明な彼らが重視し探し求めているのは、品質に関する情報なのだ。

 アマゾンの商品推薦機能を考えてみよう。これは商品に関するアドバイスと影響力が一体となっている。ある程度合理的で適切な選択肢を推薦・アドバイスし、それらの推薦が顧客の興味関心に基づいているため影響力がある。顧客にとって有意義なコンテクストを示せば、顧客はより簡単に、安全で適切な購買意思決定を下すことができる――アマゾンの推薦機能はこの命題を前提とし、また使命としている。買い物客がクリック1つで、自分の潜在的な購買意欲を知ることができるというのは決定的だ。同社の推薦機能とレビューはともに、販売、マーケティング、プロモーションのメディアとして素晴らしく効果的(コストの点でも)であることが証明されている。

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