企業変革の2つのモード(その11)
「普通の(優れた)CEO」はなぜ変革できないのか

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 それ自体が無理難題といってもよい企業変革にドラスティックに取り組み、華々しい成功を収めたジャック・ウェルチは、退任するときには「最高のチェンジ・リーダー」の名声を確固たるものにしていた。「20世紀最高のCEO」と呼ぶ人すら少なくなかった。

 変革を困難にする条件がそろいまくっていた1980年代初頭のGEを、なぜウェルチは変革することができたのか。その理由を考えるとき、多くの人はウェルチの極端なパーソナリティに注目するかもしれない。「剛腕でタフ」「妥協を許さない」「リスクをとる」「悪役になるのも辞さない」「しがらみなく思い切ったことができる」「自ら乗り出す」「実行において徹底している」「ビジョンを打ち出すカリスマ」といった、よく知られた彼に固有の資質である。

 しかし、企業変革に成功した理由を、こうした個人的な資質にばかり求めると、話はそこで終わってしまう。「企業変革は難しい、どうしたらよいか」となると、「とりあえずジャック・ウェルチを連れてこい」ということになる。ウェルチは一人しかない。

 ただし、である。確かにウェルチはアクの強い個性的なリーダーではあったが、考えてみれば、大企業のリーダーにまで登りつめる人というのは、多かれ少なかれそういう人のはずだ。程度の差こそあれ、企業のトップまで出世する人は、普通は相当に「剛腕でタフ」で「妥協を許さない」ものである。ウェルチは一人でなくとも、ウェルチと似たり寄ったりのパーソナリティの経営トップはそれほど稀少というわけでもないだろう。

 そもそも、企業のトップになって「私は企業変革にはあまり関心はございません」という人はほとんどいない。それが証拠に、「変革」は経営者の年頭のメッセージや就任時の記者会見でもっともよく出てくる言葉である。

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