忙しい人ほど必要な「考える時間」のつくり方

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忙しすぎて考える時間が足りない、という人が取り入れるべき、時間管理のテクニックを紹介する。ただし、生産性の向上のためではない。自己成長に欠かせない、気分転換と内省のひとときをどう設けるかが重要だ。


 先日のフィレンツェへの出張では、多忙を極めた。しかし幸運なことに、クライアントはフォーシーズンズ・ホテルを取ってくれていた。このホテルは復元されたルネッサンス様式のパレス2棟から成り、その間は約1万3000坪の庭園で区切られている。私はとても楽しみにしていた。

 しかし到着後、自分の部屋が奥側の棟にあることを知った時、その喜びは萎んでしまった。ホテルの入り口と自分の部屋を行き来するために、毎回この広大な庭園を歩くはめになったからだ。

 滞在中はコンサルティングの予定がぎっしり詰まっており、ほかにもやるべきことがたくさんあった。これほど長距離を歩かされると、毎日の貴重な時間が奪われる。とにかく時間に余裕がなかったのだ。

 最初の頃は、いら立ちを感じながら庭園に入り、できるだけ速く脇目もふらずに歩いた。ところが意外なことに、回を重ねるごとに私の歩調はゆっくりしたものになり、やがてこの庭園散歩は格好の気分転換になっていった。曲がりくねった小道をぶらぶら歩いていると、思考が活性化し始める――そして物事のつながりが見えたり、ひらめきが訪れたり、アイデアが膨らんだりしたのだ。

 スピードと生産性が重視される生活や職場で、私たちは庭園を見失っている――文字通りに、そして比喩的にも。それを取り戻す必要がある。

 最近、ある大手投資銀行の最高技術責任者であるラジープとランチをした。1時間をともに過ごした後に彼のオフィスへ戻ると、138件の新着メールが彼に届いていた。その後、話しをしている最中にも新たな受信音は鳴り止まない。「どうすれば、うまく処理していけるのでしょうか」と彼は私に尋ねた。

 どうにもならない。ラジープは1万人近い従業員を抱えているのだ。「考える時間がないですよ」と彼は嘆いた。

 考える時間がない――この言葉がリーダーの口から出るのは恐ろしいが、言葉自体は非常に一般的でもある。1万人の従業員を抱えていなくても、ほぼ誰もが、忙しすぎて考える暇がないと感じている。

 効率が悪いということではない。私たちの生産性は驚くべきものだ。成果物を生み、意思決定を行い、予算を計上・投入し、チームを指揮し、提案書を書く――。

 ある意味、この生産性こそ実は問題なのだ。効率や生産性を過度に追求する環境の中で、失われているものがある――内省し、学ぶことだ。

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