広告はデバイスではなくコンテクストから考える

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本誌2013年7月号(6月10日発売)の特集は「広告は変われるか」。これに合わせ、HBR.ORGで展開された「広告の未来」特集から8本の記事を厳選し、お届けする。第4回は、デバイスの多様化にともない変化する広告の役割について。広告の「枠」ではなく、消費者の「コンテクスト」(状況)に焦点を合わせることの重要性を、グーグルの上級副社長ニケシュ・アローラが説明する。


 新しいデバイスが登場するたびに、専門家たちはそれが広告の未来にもたらす影響を推し量ってきた。1930年代後半に広告業界のご意見番たちは、広告が果たしてテレビ画面の中で効果を上げるのかと心配した。ニューヨークタイムズ紙の編集者に宛てられたある手紙には、「テレビ用に広告メッセージを制作し、放映するのは難しいと思われます」と書かれている。一方、1938年に刊行されたTelevision: A Struggle for Power(テレビと権力の攻防)の著者は、「耳と目の両方に訴える広告が成功するという見込みには、大きな疑いがある」と述べている。つまり、いつの世にも懐疑論者がいるということだ。そして、それは悪いことではない。そういう人々が間違っていることを証明しようと、夢見る人々が発奮するからだ。

 しかし、実際のところ、私たちは広告の未来をデバイスごとに築いていくわけではない。学ぶべきは、これらのデバイスが私たちにとって「消費者が情報を求める状況」を理解する手段になるということだ。携帯電話、タブレット、ファブレット、タッチスクリーン型ノートPC、ウェブ連動テレビ――人々はこれらの最新機器を使って、お互いに連絡を取り、買い物をし、世界を旅し、動画を観て、ゲームで遊び、写真を撮っている。注目すべきはデバイスそのものよりも、人々がいつ、どのように、何の目的でデバイスを使用するのか、という点である。

 そうすべき理由のひとつは、顧客の状況(コンテクスト)を、その人が使用中のデバイスだけで推測することがもはや不可能になったからだ。携帯電話を使っているなら外出中だ、タブレットを使っているなら自宅のソファにいる、デスクトップPCなら仕事中だろう――かつてはこうした推測ができたが、もはやそれらは正しくない。これらのデバイスは新たな進化を遂げており、人々の行動はデバイスを使用している状況によって大きく異なる。自分の生活を考えてみてほしい。テレビの前に座り、ノートPCでメールを書きながら、タブレットを使ってデリバリーのメニューを見たり、音楽を聴いたりする。信じられないと言う人は、16歳の子どもとしばらく過ごしてみればわかるだろう。

 現在、人々はつながった状態を保つために、複数のデバイスを行ったり来たりしている。ただし、広告関係者たちの当初の心配をよそに、消費者の目は1つの画面から別の画面に移動しても「失われる」わけではない。消費者は、有限の時間を複数の画面に割り振るというより、複数の画面を同時に使用していることが多い。つまり、これまでになかった「マルチスクリーンの世界」に生きているのだ。

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