大阪市営地下鉄民営化のメリットとデメリット

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前回、東京メトロと都営地下鉄の統合について書いたところ、「大阪市営地下鉄についてはどうか?」という問い合わせ・コメントがいくつかあった。大阪市営地下鉄も、黒字計上している公的交通機関で、やはり民営化が議論されているという意味で、都営地下鉄とよく似ている。

 そこで、今回は大阪市営地下鉄を取り上げる。筆者は、2010年の8月、大阪市の事業仕分けに仕分け人として参加し、大阪市営地下鉄関連事業についても議論した。それ以後、引き続き関心を持っている事業でもある。

1.大阪市営地下鉄の民営化論議

 大阪市営地下鉄は、日本で初めての公営地下鉄として、1933年に御堂筋線の梅田~心斎橋間が開業したのが始まりという。現在は、御堂筋線、谷町線、四つ橋線、中央線、千日前線、堺筋線、長堀鶴見緑地線、今里筋線の8路線体制で営業中である。地下鉄としては、東京メトロ(東京地下鉄)に次ぐ規模で、公営地下鉄としては日本最大である。戦前には、市内交通は民間企業に任せないで、市民の利益が最大になるように市営で行なうという基本方針があったが、近年は民営化が議論されている。

 具体的には、2006年5月、関西経済同友会が「大阪市営地下鉄とバス事業の民営化」を提言したことをきっかけにして、大阪市も完全民営化の可能性も含めて検討を進める方針を示した。2010年には、市営地下鉄を上下分離方式で民営化を図る計画が公表された。上下分離方式というのは、地下鉄の路線などの設備は引き続き大阪市が保有するものの、新会社を設立して地下鉄の運行を任せるかたちで民営化するというものであった。

 しかし、2011年に橋下市長が就任すると、上下分離方式をやめ、上下一体での民営化を2015年度までに実施する方針が公表される。近年においては、民営化の手法についてはいろいろ意見が分かれてはいるものの、大阪市営地下鉄を民営化するという基本的な方向については、コンセンサスになっているといっていいだろう。

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