コトラーが語る
混沌の時代に収益を上げる方法

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不況期に収益を上げる方法とは? この最も普遍的かつ喫緊の問いに今回答えるのは、マーケティング理論の大家フィリップ・コトラーだ。不況期における基本的な選択肢と対処法を、改めて確認しておいてはどうだろうか。


コーチへの質問
「経済は常に浮き沈みを繰り返します。このため当社は、2つのシナリオ――好況期に採用するものと、不況期に採用するもの――を用意しています。景気が悪化すれば、不況期にどう行動すべきかを定めたシナリオにただちに切り替えます。このやり方は正しいのでしょうか。そして、会社は不況期に収益を上げることができるのでしょうか」

ゴールドスミス
 この質問は、フィリップ・コトラーに相談しました。フィリップはノースウェスタン大学ケロッグ・スクール・オブ・マネジメントの教授で、マーケティング理論の大家です。彼は最近、ジョン・キャスリオーネとの共著Chaotics: The Business of Managing and Marketing in the Age of Turbulence(邦訳『カオティクス:波乱の時代のマーケティングと経営』東洋経済新報社)を出版しています。では、彼のアドバイスを聞いてみましょう。

フィリップ・コトラー
 好況期・不況期の2つのシナリオを用意するのは、スタートとしてはよいのですが、とても十分とはいえません。たとえば、不況の初期段階には、企業は雇用や広告、新製品の開発を縮小する傾向があります。しかし、不況の原因や競合他社の動き、危機的状況の期間や深刻さを考慮せず、それを機械的に実施するのは無意味なことです。私はロボット的な対応には反対です。

 不況期でも企業は収益を上げることができます。低価格で良質なサービスを提供することで知られ、それが理由で支持される企業もあります――ウォルマートやマクドナルドのように。このような企業は、好況期に比べて利益が減少しても、売上を伸ばし、まずまずの業績を上げることができます。

 それ以外の企業にもさまざまなオプションがあります。

●価格を引き下げ、価格に対する価値の比率を高めます。表示価格を引き下げたり、販促(割引や、1つ分の価格で2つを販売など)を拡大したりする方法があります。

●一部の機能や効果を省いた、廉価版の製品やサービスを投入します。自社の高価格版との間でカニバリゼーションが生じる可能性もありますが、競合他社とシェア争いをするよりはましです。

●標準的な製品やサービスに、付加価値を加えます。送料無料や保証期間延長、返品条件の緩和などです。後者の例として、ヒュンダイは最近、購入者が失業した場合に購入した自動車を買い戻すサービスを開始しました。GMとフォードも、解雇された購入者に代わって代金を支払うサービスを提供しています。

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