クリステンセンが偉業を成し遂げた3つの要因

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クレイトン・クリステンセン教授は、『イノベーションのジレンマ』刊行後も数々の論考を精力的に世に問い続け、最近では相次ぐ病魔と闘いながらも珠玉の人生訓を本にまとめている。その偉業は何によって成しえたのか――10年以上ともに働くアンソニーが、クリステンセンの資質を語る。


 クレイトン・クリステンセンの待望の新刊How Will You Measure Your Life(ジェームズ・アルワース、カレン・ディロンとの共著。邦訳『イノベーション・オブ・ライフ:ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ』翔泳社)が刊行された。この本は、クリステンセンがマッキンゼー賞を受賞したハーバード・ビジネス・レビューの論文「プロフェッショナル人生論」(邦訳は本誌2011年3月号)をさらに発展させたもので、彼が経営理論の基盤としているモデルから、人生への教訓を導き出し伝えている。

 それらの原型となる言葉を私が最初に聞いたのは、2000年の終わり頃だった。私はハーバード・ビジネススクールに在籍し、彼の授業を受けていた。他の教授らと同じように、クリステンセンも最終講義でさまざまな経験・知見を語ってくれた。その話に感銘を受けた私は、2001~2002年に彼の下で主任研究員として働きながら、最終講義を再び聞くために教室へと足を運んだ。

 この本の発売に先立ち、私は記者からクリステンセンについての取材を受けた。長時間のインタビューで質問されたことの骨子はつまり、こうであった。「クリステンセンは、なぜ偉大な功績を上げることができたのか。たしかに彼は賢いが、他にも賢い人はたくさんいる。彼は一流のストーリーテラーだが、語るのがうまい人は世界中にたくさんいる――」

 私自身が考える、クリステンセンが成功した秘訣は3つある。

1. 真実への終わりなき探求

 クリステンセンの使命は、確たる根拠に基づく堅牢な理論によってビジネスリーダーの意思決定を助けることである。彼は優れたビジネス理論の基本的条件として、2つを挙げている。マネジャーたちが直面している「異なるさまざまな状況」に適用できること、そして行動とその結果を結ぶ「因果関係」を示していること。たとえば破壊的イノベーション理論がある。自社製品の性能が市場のニーズを超えて過剰になっている場合、自社の優良顧客にのみ耳を傾けていると、他の企業――より簡単で安価なソリューションを用意している企業――からの攻撃に脆くなってしまう、というものだ。クリステンセンがインパクトの大きい課題に重点を置き、その論考が堅牢かつ実用的なのは、以前にコンサルタント、そして企業の経営者として働いた経験が役に立っているのであろう。

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