エコの透明性は金で買えるか

1

生産者による食品偽装は後を絶たない。発覚はもしかすると氷山の一角なのでは、と疑心暗鬼になる人も少なくないだろう。しかし問題は偽装行為だけでなく、評価基準そのもののあり方であるとゴールマンは主張する。エコの透明性を示す基準が、信頼性や公平性を欠くものでは意味がないということだ。


「フルートループスによる死」と呼べる事態が発生した。2009年8月に米食品業界で、莫大な費用が投じられ鳴り物入りでスタートした「スマートチョイス」(賢い選択)キャンペーンは、わずか2カ月後に終了した。理由は何か。フルートループスやココア・クリスピーズ(ともにケロッグの朝食用シリアル)など、疑問の余地がある商品が、スマートチョイスの承認を示す緑のチェックマークを与えられていたのである。ニューヨーク・タイムズ紙は「健康に良いフルートループス」という記事で、このキャンペーンを酷評した(英文記事はこちら)。

 これらのシリアルには、食物繊維とビタミンがたしかに含まれてはいる――しかし同紙が報じている通り、フルートループスの総重量の約40%は砂糖であり、1食分に12グラムが含まれている。同紙によれば、ハーバード公衆衛生大学院の栄養学部長はこの承認を「最悪の選択」と評している。

 コネチカット州の司法長官は、消費者を欺く行為だとしてスマートチョイスの捜査を行うことを発表した。米国食品医薬品局(FDA)は、健康を強調する表示に関する基準の明確化を目指し、疑念が持たれている製品の一斉捜査を開始した。このFDAの動きから2日後、スマートチョイスの運営事務局はキャンペーンの中止を決定した。

 FDAのアドバイザーは次のように述べている。「良いところだけを強調し、あまり健康に良くない成分をきちんと公開しないような成分表示なんていりません」。業界が基準を低く設定して「健康によい」「環境にやさしい」と謳ってきたようなこれまでのやり方は、今後のエコの透明性の時代には通用しなくなるだろう。企業が金の力で健全性の基準や評価を自分たちの思いのままに操り、私たちの食卓を支配するのは危険である。

 反対に、そのようなサステナビリティ・インデックスが完全に客観的なもので、市場で広く利用されるようになれば、プラスの影響は計り知れない。ハーバード大学ケネディ行政大学院の透明性政策プロジェクト(Transparency Policy Project)は、透明性に関する3つの基準を打ち立てている。(1)権威(信頼性)があること。(2)公平であること。(3)ある商品の一部分ではなく全体に及んでいること。

 これらの原則を遵守した透明性評価システムが、すでに2つ運営されている。美容品の格付けサイトであるスキンディープ(SkinDeep)は、各製品の表示成分を医療用データベースと照合し、製品の持つ潜在的な有毒性を調査する。これにより、たとえば実験用マウスに癌を発生させる物質、胎児の内分泌系に障害をもたらす物質、その他の病気を誘発する物質であるかどうかをチェックできる。スキンディープのシステムそのものが透明化されており、製品の評価がなされた経緯を誰でもたどることができる。

1
無料プレゼント中! ポーター/ドラッカー/クリステンセン 厳選論文PDF
Special Topics PR
今月のDIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー
最新号のご案内
定期購読
論文オンラインサービス
  • facebook
  • Twitter
  • RSS
DHBR Access Ranking