進化するクリステンセンのイノベーション論

ハーバード・ビジネスレビューの最新号は「破壊的イノベーション」の特集。クレイトン・クリステンセン教授の論文も掲載された今号の読みどころを、編集長が紹介する。


 今月号の特集は「破壊的イノベーション」です。経営書に詳しい読者の方ならピンとくるかもしれませんが、ハーバード・ビジネススクールのクレイトン・クリステンセン教授が、いまや古典的名著『イノベーションのジレンマ』で用いた言葉です。

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2013年6月号

 本書がアメリカで刊行されたのが、1997年。当時、ITの進歩が企業の競争優位を決定づけると思われた時代に、「高機能製品を開発する企業が、技術で劣る企業の新製品によって、市場トップの座をいとも簡単にとられてしまう」現象を解明しました。

 それから15年、この理論はすっかり定着しました。クリステンセン教授もその地位を確固たるものとし、経営学者ランキングなどでは常に上位に選出されるグールー(guru)となりました。

 イノベーションが叫ばれる今、今号ではクリステンセン教授が久しぶりに論文を発表しています。テーマは、「破壊的イノベーションの時代を生き抜く」。もはやどの業界でも破壊的イノベーションが見られるようになりました。それを仕掛ける側を目指すのはもちろん、仕掛けてきた競合にどう対応するかも大きな戦略上の意思決定となります。クリステンセン教授は、破壊的イノベーションを引き起こした「拡張可能な中核能力に着目せよ」と主張します。詳しくは本誌にゆずりますが、イノベーションへの攻防戦が勝つか負けるかの単純な議論から、漸進的な負け方を含んだ議論へと進化している様子がよくわかります。

 併せてお読みいただきたいのが、一橋大学大学院・楠木建教授に執筆いただいた「クリステンセンが再発見したイノベーションの本質」です。経営論の系譜におけるクリステンセンの偉業がよく理解できます。余談ですが、この論文によると楠木先生とクリステンセンは学界デビューが同じ「同期」だそうです。

 なお、その後のクリステンセン2009年に癌を患い、抗がん剤と戦いながら教壇に立たれました。その内容は昨年出版された『イノベーション・オブ・ライフ』に紹介されています。氏の教育者としての偉大さが表現された素晴らしい本です。(編集長・岩佐文夫)
 

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