最良のソリューションとは、常に一時的な
ものである

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運動やダイエットが長続きしない、と自責の念に駆られている人にとって、今回のブレグマンの記事は朗報だ。しかし、目的と手段を取り違えている人や、完璧さを求めるあまり実行に踏み切れない人には警句となる。


「またビーガン(完全菜食主義者)になったって? 1度失敗して、諦めたんじゃないの?」と、ニッキーは笑った。

 パムはそれに相槌を打ち、私に言った。「普通に食べればいいじゃない。何事も、ほどほどがいいのよ」

 そこでテーブルにいたみんなが、私とパムを笑った――パムは2杯目のモヒートでかなり酔っており、ほどほどのお手本にはとても見えない。

 私たちは高校時代の仲間だ。6人のグループで、かれこれ25年もこうして月に1度、夕食を共にしている。ざっくばらんとした集まりだ。

 ビーガンについての話はすぐに終わった。こんな夕食の席では、ひとつの話題は長続きしない。でも私はしばらく考え込んだ。また菜食主義を始めた私は落伍者なのだろうか。どうして前回は続かなかったのか。ならばなぜ、また挑戦しているのか。

 このように習慣を変える行為は、禁煙や禁酒と同じようなものともいえる。つまり、最後まで貫くためには、何度か挑戦を繰り返す必要があるのだ。

 しかし、別の真理もある。すべてを継続する必要はない、ということだ。何を達成したいかによって、どこまでやるかを決めればいい。

 私は今週、6億ドル超の収益を誇るテクノロジー企業のCEOおよび経営陣が参加するオフサイト・ミーティングを主催することになっている。この数日間、私たちは組織の再設計に取り組んできた。新たな組織構成を策定し、新たなリーダーシップの役割を設け、責任の所在を明確にした。有能なリーダーシップ人材と堅実な成長戦略を持つこの優良企業は、今後3~5年のあいだに10億ドル企業へと成長することを現実的な目標としている。

 私たちが設計した新たな組織図を見ていた、CEO直下の1人がこう言った。「これは無理です。9億ドル企業になったら、機能しなくなります」

 CEOは一瞬考えてから、返答した。「9億ドルの時に機能しなくてもいい。今この時に有効であればいいんです。また、7.5億ドルになった時に変えればいい」

 これは素晴らしい考え方だ。ほとんどの物事は、ある一定の期間のみ有効だが、その後は役に立たなくなる。あるソリューションを永続的なものとしてしまうと、やがては行き詰まる。それよりは、変更が利く一時的なソリューションのほうが有効だ。

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