成功するチームに欠かせないもの

公衆電話と人間の最大の違いは何か。ナイアの視点から言えば、「金銭が原動力となるか否か」ということになる。お金を入れさえすれば機能する前者とは違い、人の原動力は金銭以外の3つの要素であるという。


 先日、携帯電話で同僚と話していた時のこと。昔から続くある問題への新しい解決策を、相手は熱心に説明してくれていた。長く話し込んでいると、途中で携帯電話のバッテリーが切れてしまった。私は移動中だったので、会話を再開するために空港の反対側にある公衆電話まで歩いて行かなくてはならなかった。通話が切れないように、公衆電話に硬貨を入れ続けた。既存の解決策でもうまくいくかもしれないが、新しいアプローチはパフォーマンスを飛躍的に改善させる、ということを私が納得したところで、通話は終わった。

 この出来事は、私に興味深い示唆を与えてくれた。公衆電話は「予測通りの反応を示す」という点で、機械の典型的な象徴だ。硬貨を入れると回線がつながり、硬貨を追加すると通話を続けることができる。しかし人間となると、そうはいかない。たとえば私の同僚は、既存の解決策に固執するのではなく、新しい解決策を試す興奮に突き動かされていた。

 過去20年間、私はチームをやる気にさせる原動力を解明しようとしてきた。従来の理論でうまくいくことはまずない。成功するチームに欠かせない秘伝のタレは、次の3つの成分でできている。

1. 困難な課題

 人は追いかける行為自体に楽しみを感じる。これは恋愛には常に当てはまるとは限らないが、仕事においては完全に当てはまる。人は、大きく困難で無謀に見える目標に直面すると、解決法を探すことに興奮し、執着さえ見せる。グーグルのミッションステートメントは大胆だがシンプルな内容を謳っている――「世界中のあらゆる情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて、使えるようにすること」。この途方もなく大胆な目標を追いかけることで、同社は成功を収めてきた。

2. 成功への情熱にあふれる人々

 ブレインストーミング中のチームを見るのは楽しい。厄介な問題への解決策を探している人々の間で生まれる興奮や混沌は、かけがえのないものだ。専門知識や経験でそれらを代替することはできない。チーム一丸となって全力で解決策を模索する行為に、人々は信じられないほどのエネルギーを注ぐ。見返りのことはあまり考えず、直面する難題を乗り越える行為自体に夢中になるのだ。

3. 試行錯誤の余地

 3つ目は、新しいことを試し、間違いを犯し、やり直すことが許される余地である。蜘蛛が一晩中地面に落ち続けた後、朝にはうまく壁を登ることができるようになったという寓話を、子供の頃に読んでもらったことはないだろうか。私たちは皆、その蜘蛛のようなものだ――成功するための驚くべき力を秘めた、普通の人間なのである。実験の機会をうまく用意できるチームリーダーは、情熱に火を付け、奇跡的な結果を生み出すことができる。

 行く手に難題が現れ、解決への情熱を持ち、試行錯誤できる余地があるならば、人は魔法を起こせるのだ。人は金銭的な報酬でしか動かない、という説に異議を唱える研究もある。『モチベーション3.0-持続する「やる気!」をいかに引き出すか』の著者ダニエル・ピンクは、興味深いビデオの中で、「アメとムチ」の定説を否定する研究結果を複数挙げている。ピンクによれば、従業員の成果を上げるものとして経営陣が理解しなければならないのは、自由裁量(autonomy)、熟練への希求(mastery)、壮大な目標(purpose)であるという(動画はこちら)。

 成功するチームは金銭的報酬には踊らされない。熱意があり自律的で、多くの場合、自己組織化する。そのような人々を活かさない手はないだろう。


原文:The Key Ingredients of a Successful Team June 21, 2012

 

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