マーケティングは死んだ

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従来のマーケティングはもはや機能しない、と説くリーの本記事に対して、HBR米国版のサイトでは600を超えるコメントが寄せられ、反響を呼んだ。新たなマーケティングのキーワードのひとつは「ピア」(peer)、つまり顧客のネットワークであるという。


 従来型のマーケティング――広告、PR(パブリック・リレーションズ)、ブランディング、企業広報など――は死んでしまった。従来型のマーケティング業務を行っている人々は、死んでしまった枠組みのなかで仕事をしていることに気づいていないかもしれない。だが、これは事実である。はっきりとした証拠があるのだ。

 第1に、買い手はもはやそれらに注目していない。いくつかの調査では、「買い手の意思決定の道筋」において、従来のマーケティング上のコミュニケーションは的外れになっていることが裏付けられた(英語の動画はこちら)。買い手は製品やサービスに関する情報を自分のやり方で調べている(HBR米国版の論文要約はこちら。邦訳はDIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー2012年12月号 「ソリューション営業は終わった」)。多くはインターネットを使い、クチコミやカスタマー・レビューなど、外部の情報源を参照する。

 第2に、CEOは我慢の限界にきている。2011年にロンドンのフォーネイズ・マーケティング・グループ(Fournaise Marketing Group)は、600人のCEOを対象に調査を行い、衝撃的な結果を発表した。73%が「CMO(最高マーケティング責任者)は事業を十分に成長させる能力と信頼性に欠ける」と答えた。また、72%が「事業の拡大にどう結びつくのか説明がないまま、予算を求められることにうんざりしている」とした。さらに、77%が「企業価値や財務指標と実質的に結びつかないブランド・エクイティについて話を聞くのは、もう限界だ」と答えた。

 第3に、ソーシャルメディアが日々浸透していく今日の環境では、従来型のマーケティングや営業はうまく機能しないだけでなく、意味をなさなくなっている。考えてみよう。企業は従業員や代理店、コンサルタント、パートナーなどを雇うが、その人たちは買い手の世界の人間ではなく、関心も買い手とは必ずしも一致していない。にもかかわらず、彼らに買い手を説得させ、一生懸命稼いだお金を使わせようとさせる。これはいかがなものだろう? 従来型のマーケティングの理屈をソーシャルメディアの世界に適用しても、うまくはいかない。フェイスブック上でのマーケティングに効果はあるのか、という論争も尽きることがない。

 この最後の点は幾分的外れかもしれない。なぜなら、従来型のマーケティングはどんな場所でもほぼ機能しないからだ。

 この破綻したモデルに代わるものについては、多くの推測が行われている。まるで、将来のマーケティング像は遠い彼方にぼんやりと垣間見えるだけ、といった感じの憶測だ。しかし実際には、新たなマーケティングモデルについては多くの詳細が判明している。すでにいくつかの企業で、実際に取り組みが行われているのだ。以下に重要なポイントを示そう。

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