サステナビリティ戦略は
いまやグローバル競争に欠かせない

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日本は環境にやさしい国というイメージがあるが、環境基準は海外と比べはるかに低い。この市場で育った日本企業が海外市場に進出する際、基準の甘さが不利になるのだ。日本企業がグローバル企業として、環境対応していくには、進んだ環境基準を自ら提唱していくくらいの姿勢が求められる。

 

日本市場の延長にはない環境先進企業

 中国に抜かされたとはいえ経済大国第3位の日本は、サプライチェーンがもたらす世界への影響も3番目に大きい。サプライチェーンは原材料、加工に使える化学薬品、設計に盛り込むリサイクルなどさまざまな要件を既定することから、最終消費市場の環境問題に大きな影響を及ぼす。だが、日本市場は環境規制に関して先進的ではないという事実は、驚くことにあまり知られていない。もっと言えば、部分的には新興国よりも劣りつつあるのだ。

 代表的な環境規制であるRoHSについて、日、米、欧、中の4カ国で比較を行ってみよう。電子・電気機器に含まれている有害物質に関する規制であるRoHSは日本が遅れている基準の代表例である。EU、米国は最終製品、中国は最終製品だけでなく部品、塗料、包装にまで基準値を定めて、それを超えるものは流通が許されない。ところが、日本は含有量の表示が義務付けられているだけである。

 省エネ水準や建材に含む有害物質などを既定するLEEDも、欧米基準と比較すると日本は中国と同等の状態にあり先進的とは言えない。

 こうした基準の低さによって、例えばRoHSの場合であれば、日本企業は自国の市場向け製品においては他国が利用を禁止している原材料であっても、調達、加工、保存、輸送を新興国のサプライヤーに続けさせてしまっている。つまり、世界の先進的な環境基準に照らした場合、日本は巨大な国内市場向け製品のサプライチェーンによって、世界各地に環境汚染を拡散しているという国家になりかねない。国内市場だけでも十分な市場規模で、かつ環境省が管轄産業を持って各省から合意を得ない限り厳しい環境規制を横断的に導入することが難しい日本の悲劇だ。日本は環境先進イメージが一部の企業によって作られてはいるが、国内市場の仕様のままだと他の先進国や新興国市場から退場させられる可能性があることをまずは認識しておく必要がある。

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