計画したことに縛られないために必要なこと

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私たちは目標を達成するために、計画や戦略を立てる。別の言い方をすれば、目的地へと確実に辿り着こうと、レールを敷く。しかしそのレールが時に危険にもなるという。


 私たちはハイキングをしていた。何時間か歩いてきた登山道から視線を上げ、辺りを見回して思った。「ちょっと待てよ・・・・・・ここはどこだ?」

 迷子になっていた。あろうことか、私はひとりではなく、ナショナル・アウトドア・リーダーシップ・スクール(NOLS)の「30日間自然探索隊」を引率していた。16歳から24歳までの学生たち8人が、私のあとに続いていたのだ。

 NOLSは自然探索の大部分において、通常の登山道ではない野生地を行く。山、川、谷、尾根などが記された地形図を使って、周辺の風景と地形図を付き合わせながら進路を取る。

 私たちは毎朝、次にキャンプを張る場所を目的地として確認しあう。そして目的地へのおおまかな進路を野生地のなかに定める。進むべきだいたいの方向は皆が理解しており、周りの風景を注意深く見ながら進路から外れないように進んでいく。行く手の左側にはあの山を、あの沢は右側に、あの岩山の頂上を正面にして、といった具合だ。

 野生地を進んでいると、同じ方向を辿る登山道が現れる時がある。その場合は、より歩きやすい登山道を利用する。しかしこれには危険も伴う。周りの風景を観察するのをやめてしまうのだ。登山道を進むのがあまりに楽なために気が緩んでしまい、現在地の把握を怠ってしまう。

 勢いと道程に身を任せて登山道を前進する。そしてふと気づけば、周囲の風景には見覚えがなくなっている――その日の私がそうだった。前進することに集中するあまり、盲目となってしまうのだ。

 これは、ハイキングだけの話ではない。

 私たちは、ビジネスでも人生でもさまざまな目標を立てながら生きている。起業、販売目標の達成、献身的なマネジャーになること――そして目標達成のための戦略を定める。目標とは目的地であり、戦略とはそこにたどり着くための登山道だ。

 だが時として、私たちは登山道――目標達成の方法やプロセス――に夢中になってしまい、最初に目指していた目的地を見失ってしまう。そして目的地への到達を後押ししてくれるチャンスを、素通りしてしまうのだ。

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