ルールに関するルール

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「なぜあの人は、取り決めをいつも守ってくれないんだろう」「作業を中断されてばかりで、困っている」――こんな悩みを抱いている人に応える、ルールを守ってもらうためのルールとは?


 自宅のオフィスで新しいクライアントと電話をしていると、ドアをノックする音が聞こえた。時計を見ると午後4時。娘のイザベルとソフィアが学校から帰宅する時間だ。通常は、ここで休憩をとり子どもたちから今日の出来事を聞くのが私の楽しみとなっている。

 けれども、私はひとつルールを設けている。もし私のオフィスのドアが閉まっていたら、子どもたちはノックを1度だけすることになっている。私が返事をしたら、子どもたちはオフィスに入ってきてよい。もし返事がなければ、仕事の邪魔をしないでねという意味だから、彼女たちは私がオフィスから出るまで待たなくてはならない。

 そしてこの日は、ビジネスの電話中に邪魔をされたくなかったので返事をしなかった。けれども子どもたちはノックをし続けて、ついにはオフィスに入ってきてしまった。私は唖然とした。ルールはどうしたんだ? 彼女たちに「静かにして」と合図を送ったが、追い出すことはしなかった。

 電話が終わった後、子どもたちになぜルールを破ったのかを聞いた。「だって、パパ」イザベルが言う。「パパは、私たちがいきなり部屋に入ってくるのが好きでしょう? 私たちは昨日もそうしたし、おとといもだけど、パパは何も言わなかったよ」

 ルールは、破ってはならない――これはルールの原則である。私はそれを破ってしまっていたのだ。

 わかっていたはずなのに。この何日か前、大手製薬会社のトップリーダーたちにタイム・マネジメントについてスピーチをした。終了後に1人のリーダー(ここではショーンと呼ぼう)が近づいてきて、秘書に仕事を中断されるのを防ぐにはどうすればいいか、と質問してきた。

「私はドアを閉めて、ブラームスをかけているんです。こうすれば普通はわかりますよね――でも秘書は部屋に入ってきて質問してくるのです。ものすごく嫌なわけではないけど、やっぱり仕事が中断されるから困るんですよ。だから彼女にやめてほしいと言ってあるのですが、やめてくれないんです」

 ショーンはわかっていた。ほとんどの人が気づいていないこと――一度中断が入ると、元の状態に戻るのが難しいということを彼は知っているのだ。マイクロソフトが行った研究によれば、仕事中の人たちを被験者として29時間にわたって録画し分析したところ、彼らは1時間当たり4回も仕事を中断されていた。でも、これはそんなに驚くことじゃない。

 驚くのは次の結果だ。中断が入った後、中断前にやっていた作業を再開できないでいる無駄な時間が全体の40%に及んでいたのである。そしてなお恐ろしいことに、作業内容がより複雑であればあるほど、復帰できる割合が少なかったのだ。

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