女性は「権力」をもっと追求すべきである

人材マネジメント、パワー、リーダーシップなどを中心に幅広い分野で研究を行うフェッファーは、女性のキャリア向上についても鋭い考察を持つ。今回提案するのは、女性が能力に基づく正当な地位を得るための「権力のすすめ」。


 いまや女性の大学進学率は男性のそれを上回り、大半の分野で高等・専門学位の取得率のギャップもほとんどなくなっている。しかしながら、企業、学界、そして専門分野において女性が真に権威ある地位に就いている割合は、男性に遠く及ばない。キャタリスト(女性の機会拡大を支援するNPO)をはじめとする多くの組織が、この現実を嘆いている。トップに女性がなかなか起用されないという事実は、何が理由なのか。答えのひとつとなるのが、女性は権力を持ちたがらないということである。

 女性は男性ほど権力志向が強くない、ということは実証されている。女性は権力を持つことに対してより後ろ向きであり、権力の行使によって影響を及ぼすやり方を好まない傾向にある。女性は上下関係を煩わしく思い、歓迎しない。他者を支配することにあまり興味がなく、権力を得るために行動することが少ない。さらに研究によれば、給与交渉のような状況で、女性は同じような能力の男性より自分を低く評価しがちであり、その結果、要求額も交渉における熱意も低くなりがちである。

 女性は好感度を大事にしすぎるのだ。たしかに、一般的に人に好かれることの重要性は過大評価されがちであり、怒りをあらわにすることの効果は過小評価されがちだが、女性はこのような信条に男性よりも影響されやすいようである。男性も権力を得るために必要とされる行動――役に立つ人々との関係を築いたり、自信を表に出したり、自分を売り込んだり、すすんで長時間働いたり――といったことに気まずさを感じることはたまにある。しかし女性はたいてい、権力のある地位を手に入れるためのトレードオフには応じたがらない傾向にある。結果として、MBAを持つ優秀な人材を含め、多くの女性は何年かキャリアを積んだところで、妥協することに価値はないと結論して権力の追求から手を引くのである。

 以下に2つの提案を示す。

第1に、女性は「トレードオフ」をもっと積極的に行うべきである。

 男であれ女であれ、力を得てキャリアでの成功をつかむためには誰もがある程度の犠牲を払わなくてはならないのだ。もし女性が男性と同じような水準で権力を求めるのであれば、仕事のために家族を犠牲にするか、権力を求める姿勢を支持してくれるかどうかを基準に結婚相手を選ぶか、という難しい選択を行う覚悟が必要だ(かつて私の教え子はこれを「戦略的結婚」と呼んだ)。

第2に、女性は強くならなくてはいけない。

 女性が男性と同じようなパワー・ストラテジーを用いれば、悪い印象をもたれ、好まれない傾向があるのは確かだ(これは、アリス・イーグリーが「ダブルバインド 」と呼ぶ不公平な現実である)。しかし、このような戦略が女性にとっても効果的であることを否定する根拠は乏しい。カーリー・フィオリーナがヒューレット・パッカード(HP)のCEOにまで上り詰めたのは、キャリアを通じて彼女が自分を積極的に売り込んできたからだ。イーベイのメグ・ホイットマンは、外見的には穏やかに見えるが、彼女に逆らった人はその報いを受けた。イギリスのマーガレット・サッチャー元首相がメディアのインタビューで攻撃的なまでに自らの立場を守り抜く姿を目にした者は、彼女の自信を、そして妥協への抵抗を疑うことはなかった――そして「鉄の女」というニックネームの由来も。

 権力を得るためのルールがもっと別のものであればよかった、または女性に関しては違うものであればよかった――こう願ったところで、現実はそうはいかない。女性にも男性と同じだけ権力の座に就く資格がある、ということに疑問の余地はない。私は、女性が実際にその座に就くべきだと主張したいのである。問題は、女性が精力的かつ戦略的に権力を求めるようになるのはいつか、ということだ。


原文:Women and the Uneasy Embrace of Power August 4, 2010
 

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