「弱みは強み」

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リフレーミングとは、セラピーや心理療法の分野で用いられていた概念で、認知や活動の枠組み(フレーム)が変わることによって、同じ出来事に対する人々の受け止め方や反応の仕方が新しいものへと生まれ変わることをいいます(バンドラー&グリンダー『リフレ-ミング』星和書店pp. ⅵ-ⅶ)。視点が変わり、状況の意味が変われば、人々の意識内容、すなわち人々が物事にどのような価値や意義を見いだすかは変わります。

視点の転換をどのように進めるか

 セラピーにおいてリフレーミングが果たすのは、視点を変えることによって、それまで見逃していた可能性を自らのなかに見いだし、何ができるかの発見をうながすという役割です。

 このように視点の転換の重要性を説く点で、リフレーミングは、マーケティングにおいて広く用いられてきたポジショニングやリポジショングと共通の概念です。しかしさらに興味深いことに、リフレーミングを実践するセラピストたちは、この視点の転換を「どのように行うのか」について、以下のようなユニークな強調を行っています。共同研究のなかで、私たちはここに注目しました。

丸ごとの自分と向き合う

 人は行き詰まったときに、変化のために新しい何かを求め、自らの外に目を向けます。これは自然なことです。しかし、こうした行動が行きすぎれば、心理的なトラブルを引き起こすことを、私たちの共同研究のパートナーだったセラピストの方たちは強調していました。

 なぜなら、こうした行動は、「自分はこうあるべき」という思いと、「今の自分」とのギャップを広げてしまうからです。この葛藤を克服しようと、さらに自らの外に理想や解決策を追い求めても、さらに「今の自分」を受け入れられなくなっていくだけです。(図1)

(図1)「自分の外にモデルを求める」ことから起こる悪循環

 こうした悪循環に陥らないためにも、何かに行き詰まったときには、今の自分を受け入れ、そのうえで何ができるかを考えるようにするべきです。そもそもは行き詰まりに直面しているのですから、今の自分には重大な制約や障害があるわけです。しかし、こうした今の自分の弱みや欠点を克服したり、切り離したりしようとするのではなく、視点を転換することで、そこに潜んでいた新たな可能性を見いだしていく。これがリフレーミングの実践なのです。

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