経済危機のなか、台頭する潮流

 新たなダイナミクスは万華鏡のようなめまぐるしい変化を着実にもたらし、新しい潮流が出現し始めている。悲観的な予測ばかりがささやかれる中、新たな胎動が生まれているのだ。

●起業家のエネルギーが、勢いよくあふれ出している

 これは環境の変化によって、これまで居心地のよかった場所から外へ踏み出すことを人々が迫られているからだ。新しい世界では何が成功し、何が失敗するのかを一から考え直す必要がある。それが新たなベンチャーの種となり、ニッチな分野での画期的なSOHO運営につながるのだ。一例として、レイオフにあった場合に車のローン支払いを保証するスタートアップなどがある。

 さまざまな組織で、私たちは働き方の変化を目撃しつつある。インプットの評価からアウトップットの評価へ、努力に対する報奨から成果に対するインセンティブへ。このような変化は、ロバート・キャプランとデビッド・ノートンが提唱したバランス・スコアカードの人気が高まった数年前に始まった。その後より多くの企業が、個人の目標と全体的な事業目標を整合させる業績管理システムを取り入れるにつれてますます広まっている。

●今日、業績こそが最も重要な差別化要因となってきている

 最近実施された『ビジネス・トゥデイ』誌の調査では、まだ経済が右肩上がりのインドにあってすら、昇給が凍結傾向にあることが明らかになった。いまや、飴と鞭はセットなのだ。これから収入を左右するのは、業績と直接連動した給与制度である。

 ビジネスモデルもまた変化しつつある。業績に連動した価格を提示する企業が増えており、それによって顧客との間に信頼と相互利益にもとづく協力関係が築かれている。

 自分で言うのも面映ゆいが、HCLは変化する状況に導かれるのではなく、能動的に変化を導いてきた。事業目標に合わせたITの構築と運営、業績に連動した価格設定、価値創造中心のアプローチ、従業員第一主義、責任、透明性、組織ピラミッドの反転による前線からのリーダーシップ発掘 。こうした信念は、新しい環境が変化を引き起こす以前からのものだ。これらの投資は大いに実を結んできた。私たちは前進しながら、これからもチェンジ・リーダーであり続けようとしており、すでに高付加価値サービスやユーティリティ・コンピューティングのような分野に確実に注力している。

●この景気低迷から生まれる世界は、今日まで私たちが慣れ親しんできた世界と同じ形、同じ規模に戻ることはない

 マインドセットを切り替える必要があるのだ。最大規模ではなく、最大価値を目指すこと。規律、ガバナンス、費用対効果をより重んじること。持続可能性に焦点を当てること。先を見れば、私には「そぎ落とし、うまく立ち回り、ハングリー精神を持つ」ことが間違いなく繁栄に至る最良の道だと思われる。

 このめまぐるしい変化は、他にも多くの場所で顕在化していることに疑う余地はない。コメントで他の例を指摘していただければ幸いである。リーダーたちがこぞって外なる世界の変化に自分たちの事業を対応させようとしている今、それぞれが敏捷性やプラス思考、回復力を育んだ経験を共有して学ぶことができるだろう。


原文:Emerging Patterns in the Crisis Economy May 14, 2009

 

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