考え抜いた戦略はシンプルになる

 先日、世界的登山家であるスティーブ・ハウス氏が来日し、講演会に行ってきました。ハウス氏の凄さは、普通の登山家が避ける困難なコースを短時間で完登してしまうことです。この彼のクライミング・スタイルは多くの登山家から「洗練されたスタイル」として絶賛されています。
 講演会でもこの話しが出ましたが、ハウス氏自身、自分のスタイルが「洗練されている」と言われことに違和感があると言います。彼自身「つきつめて、シンプルにすること」を目指しているのだそうです。
 この話しを聞いたとき、スティーブ・ジョブズの洗練されたデザインを思い出しました。ジョブスが目指したのも「いかにシンプルにするか」です。
 本日、今年最後の刊行日です。今月号(1月号)は戦略を特集テーマにし、タイトルは「戦略をシンプルに」です。この言葉を使った背景に、ハウス氏の言葉があったのは確かでしょう。
 一般に高度な仕組みは複雑なものという印象があります。自己組織化するシステムとしての生命はその極致で、複雑なメカニズムがいまだに解明されていません。家電製品ひとつとっても、高機能の製品ほど複雑なメカニズムが伴います。
 しかし、進化のもうひとつの方向性として「単純化」があるのではないかと思っています。iPodの例を持ち出すまでもなく、機能を絞って成功した商品は山ほどありますし、時代を超えて後世に語り継がれる名言は実にシンプルなものばかりです。
 弊誌の特集記事として「戦略」は、いわば十八番ともいえる、もっとも得意とするテーマです。戦略論には、ポジショニング戦略、RBV(リソース・ベースト・ビュー)、ブルーオーシャン戦略など多々ありますが、今回はそれらの個別の戦略論には言及していません。変化が激しく複雑な時代にどのような戦略が有効かは、今日の環境では非常に語りにくくなっていると感じています。一方で戦略の重要性はなんら変わっていません。今号では、「とにかく愚直に考えて戦略を実行する」という、王道で戦略に対峙する姿勢を提示したつもりです。
 考え抜いた戦略はシンプルになる。そう言い切れるかどうかまだ自信がありませんが、そう言い切れる戦略を弊誌もつくりたいと日々考えております。皆さんの戦略を見直す際の一助になれば幸いです。(編集長・岩佐文夫)
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▽今号(2013年1月号:12月10日発売号)「戦略をシンプルに」の詳細とご購入はこちら

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