あなたの会社のリーダーは、
次世代のリーダーを教育しているか

優れた会社とは、経営陣が次世代のリーダー育成のために、自らの時間を割いている会社である。とりわけ、企業の価値観と優先順位が経営陣のなかで共有され、次世代に語られる企業である。

 

 私は年に1度、フォーチュン500に名を連ねるある企業で、将来の企業リーダー育成プログラムの司会を務めている。このプログラムの構成要素には、戦略、イノベーション、リーダーシップ、意思決定、対外交渉、幹部としてのあり方などが含まれる。最大の特長は、企業の視点(enterprise perspective)に関する1週間のコースで、その核となるのは同社経営陣ほぼ全員によるプレゼンテーションだ。つまり、リーダーによるリーダーの教育である。

 このプログラムは、優れた企業の経営陣が担うべき、次世代教育における重要な役割を明らかにしている。私にとっては企業の偉大さを測定するリトマス試験紙のようなものだ。経営陣が有望な人材の教育に自分の時間をたっぷり割いていないのであれば、あなたの会社の幸先はよくない。

 プレゼンテーションで最も素晴らしかった点は、企業の中核をなす価値観と優先順位を経営陣が共有していることだった。経営陣は広範囲に及ぶ経営にあたっているが、それぞれが真に重要なこととして語った内容に一貫性があるのだ。根底にあるテーマは、優れた業績とは、優れた人材と優れた文化によって直接もたらされる結果だということである。不況時に、同社が機敏かつ効果的に行動したのはまさにこれを示すよい例であった。必要なリストラは、最大限の温情を示して行った。また、給与削減が必要なときには、幹部の給与削減の割合が最大になるようにした。企業文化を守るためのこうした配慮は、同社が不況からいち早く脱するのを助けたのだ。

 目的と価値観の見事な一致に加え、経営陣に共有されているリーダー哲学を1人ひとりがそれぞれの語り口で伝えた内容も価値あるものだった。そのいくつかを抜粋してご紹介したい。

「意見はさまざまでも、事実は1つだけです」。これは、ファクトベースの経営(および継続的改善)が、同社の事業運営の中核をなすということを反映している。異なる意見の噴出で収拾がつかないときには、真実を追求すること。

「耳が2つあって、口が1つしかないのには理由があります」。この会社の幹部は、行動する前に話を聞いて評価することに真剣に取り組んでいる。最高幹部でさえも、自分と反対の意見に耳をふさがないように細心の注意を払い、生涯にわたって学ぶことに全力を注いでいる。

「部下から上司への権限譲渡は、させません」。こう発言した幹部は、部下はもちろん彼にアドバイスを求めてもかまわないが、自分で解決できるような問題については上司に委ねてしまわず自力で取り組むようにさせている。

「私が管理するのは、部下が車道の白線からはみださないかどうかです」。こう発言した幹部が意味するのは、部下の仕事が会社の進む方向から外れそうにならない限り、自分のやりたいようにさせ思う存分手腕を発揮させるということだ。慎重なリスクマネジメントとエンパワーメントやイノベーションとのバランスを取る必要性を理解していることが伺える。

「最悪の事態が生じたときに起こりうる、最悪のことは何か」。最後に、この言葉が示しているのは、起こりうる「サプライズ(予期せぬ出来事)」を予測し、危機管理計画の策定にチームが注意を払っているということである。実際にサプライズが起きたときに、「予測していたサプライズ」であれば打撃を受ける可能性は低い。


原文:Are Your Leaders Teaching the Next Generation of Leaders? June 24, 2010

 

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