「P&Gだからできる」と考えている人が
P&Gから学ぶべきこと

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P&Gのイノーベーションについて語ると「P&Gだからできたこと」と言われることが多い。しかし、規模や業種が違えど、すべての企業はP&Gから学ぶことができるのだ。

 

 ハーバード・ビジネス・レビュー2011年6月号の特集記事として、プロクター・アンド・ギャンブルの最高技術責任者ブルース・ブラウンと私の論文、「イノベーションの成功率を高めるシステム P&G:ニュー・グロース・ファクトリー」(邦訳DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー2011年10月号)が掲載されている。同社がイノベーションの成功率を3倍にまで高めたのは、「ニュー・グロース・ファクトリー」と呼ばれる仕組みを構築して、新しい成長事業を創造するために非常に体系的に取り組んできたからである、というのが論文の主題だ。

 この論文では、同社のイノベーションへの一連の取り組みと、得られた教訓を詳しく説明している。役に立つと思うので、ぜひお読みいただきたい。今日のブログでは、この論文で示したアイデアについて、私が多くの人から共通して寄せられる3つの質問を取り上げ、回答していこう。

質問:わが社はP&Gより規模が小さい。この論文から、どんなことを学び取るべきか。

回答:P&Gは世界最大の企業のひとつである。売上高は800億ドルであり、最近のフォーチュン500のランキングでは米国企業の第26位である。

 だが、同社より規模が小さい企業もこの論文から2つの教訓を得ることができる。まず、P&Gが個別のプロジェクトについてリスクを低減している方法である。これらは、誰にとってもイノベーションの良い実践事例となるだろう。特に同社が「取り扱い学習実験(TLE)」と呼ぶ仕組みは注目すべきだ。P&Gでは、新しいアイデアの成功確率を正確に予測することは難しいと認識しているため、「少量生産と少量販売」を志向する。この方法によって同社は、プロジェクト立ち上げ初期の悲観的な予測により中止寸前にまで追い込まれた、〈アライン〉の発売を成功させた(ブログ「P&Gは、破壊的イノベーションを小さく始める」を参照)。

 もう1つの教訓は、同社ではいかなるイノベーションの取り組みでも失敗の可能性があることを考慮して、イノベーションをポートフォリオ全体で管理しているという点である。さらに、各事業を率いるリーダーたちには「事業を陳腐化させるものは何か」を想定するよう促すことで、見込みの薄いものを打ち切ることを可能にしている。今日の市場の変化のスピードは、情け容赦なく早い。もし自社の成長の90%以上が、今すでに行っていることをさらに多く行うことによりもたらされるようであれば、自社はどの程度まで変化に無防備なのか、少なくとも自問すべきだろう。

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