カニバリゼーションに対する懸念との闘い

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新製品を開発し販売するにあたり、誰もが恐れるのがカニバリゼーションである。既存製品の売上げを「食われる」不安だ。しかし、脅威はチャンスに変えることができる。ここでは3つの処方箋を提示する。

 

 カニバリゼーション(人食い、共食い現象)――まことに恐ろしい言葉である。この用語はビジネスでよく使われているが、いちいちその言葉の由来を考える人は少ないだろう。語源についてのオンライン辞書(本当に何でもウェブにあるものだと感心する)を見てみると、この言葉の由来は、カリブ海地域の島に暮らし人肉を食すると思われた原住民を指してクリストファー・コロンブスが言った、ということにまで遡る。嫌な言葉だ。

 このカニバリゼーションは、多くの企業にとって重大な関心事である。皆さんの多くは、本社がカニバリゼーションを恐れたために、プロジェクトを中止させられたり、大きな方針転換をさせられた経験があるに違いない。恐れるのはつまり、高価格帯の商品を販売している市場が、低価格帯の商品によって侵されてしまうかもしれない、という懸念である。

 こうした懸念は、まったく根拠がないとは言えない。そもそも自社の高価格製品を低価格の製品に置き換えたいと考える企業などあるだろうか。そんなことをすれば、たちまち本社から文句を言われるだろう。しかし企業は、自社のカニバリゼーションの問題に真剣に取り組む必要がある。あまりに防衛的になると、力強く売上を伸ばす戦略を抑制してしまう可能性があるからだ。

 この問題は、先日私がシンガポールで司会を務めたパネル討論で提起された。メドトロニックCRDM(心臓不整脈治療)事業のアジア地域社長であるシャミク・ダスグプタは、一見奇妙に思えるが、現実に対処しなければならない課題について説明してくれた。つまり、メドトロニックの主要事業は、驚くほどの高収益を誇っているのだ。同社の粗利益率は75%前後であり、税引き後の純利益率はおよそ20%である。これに匹敵する事業はそうそうないであろう。

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