アジアでイノベーションに取り組む
プロクター・アンド・ギャンブル

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「アジアが世界のイノベーションを加速させる」――P&Gが2億5000万シンガポールドルを投資して建設する、シンガポールのイノベーション・センターの着工を記念して開催された1日がかりの式典で、私は2時間のパネル討論の司会を務めた。上記はそのときのテーマである。

 先週私に寄せられた質問の中から1つを、P&GのCTO(最高技術責任者)であるブルース・ブラウンに投げかけてみた。「将来を展望したとき、CTOとしてのあなたの目に映る、P&Gにとってもっとも大きな課題は何ですか」。

 ブラウンは具体的に3つの課題を挙げてくれた。

 まず、企業全体として成長しなければならない。P&Gは売上高およそ800億ドルの企業である。同社は通常は毎年4~6%の成長を目標としている。これまでの実績では、その成長の8割はイノベーションからもたらされる。試算してみると毎年、40億ドル近い売上の成長が必要となる。比較するために、87年の歴史を誇るハズブロを見てみると、同社の売上高は40億ドルである。つまりP&Gは毎年、新たにハズブロ規模の売上を生み出さなければならない。そのためには、中核を成す仕組みや組織を慎重に見直すことが求められる。これは大きな課題である(ブラウンと私は、まさにこの問題に取り組んでいる)。

 2つ目の課題は、この2、3年で研究開発に携わる社員たちの半数が定年に達し、これに対処しなければならないということだった。これにより、彼らの蓄積してきた素晴らしい知識を企業として保持する、という明確な課題が生まれたが、一方で、これは研究者たちに世界で活躍する機会を与えることにもなる。

 3つ目に、サステナビリティの問題に取り組む必要がある。同社は、石油由来の原料への依存度を下げ、リサイクル素材や再生可能な素材の使用を増やすという目標を発表している。「もはやサステナビリティは一過性の経営プログラムなどではなく、我々の働き方の一部である」。シンガポール科学技術研究庁(A*STAR)とP&Gの間では、こうした発言があったという。

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