財務諸表で読み解く
日本郵政上場と新規事業進出の意味

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上場計画と新規事業参入

 2012年10月25日に明らかになった日本郵政株式会社の上場計画によると、2015年秋を目途に、持株会社である日本郵政の株式の売却を始め、国の持株比率を3分の1まで下げる道筋を示す代わりに、来年4月にも住宅ローンなどの新規事業に参入する計画とのことである。

 具体的には、学資保険の商品内容改定、住宅ローンなどの個人融資業務、長期火災保険の募集業務、企業向け融資の計4つの新規事業を計画している。これを受けて、政府の郵政民営化委員会は、少なくとも学資保険の商品内容改定については、来年4月の事業開始に間に合うよう、年内にも結論を出す意向だという。

 これに対して、全国銀行協会など民間金融機関8団体は、日本郵政傘下のゆうちょ銀行の完全民営化の道筋を示さないまま、住宅ローンなどの新規事業に参入する案については、断じて容認できないとの反対声明を出している。また、ルース駐日アメリカ大使は、日本郵政の新規事業参入に「強い懸念」を示し、TPP交渉においても大きな議題になると指摘したという。

 今回は、日本郵政の財務諸表から、現在、何が問題になっているのかを整理しよう。

日本郵政グループの再編

 郵政民営化法によって、2007年10月に日本郵政公社は日本郵政グループとして民営化された。民営化当時は、窓口業務を営む郵便局株式会社、郵便事業を営む郵便事業株式会社、銀行業を営む株式会社ゆうちょ銀行、生命保険業を営む株式会社かんぽ生命保険の4つの会社を、持株会社である日本郵政株式会社が束ねる5社体制で発足した。

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