「ドラえもん亡国論」
将来のリーダーシップを問う

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 この2つは、リーダーシップ行動について研究してみれば、洋の東西を問わず、普遍的に見出されてきた頑強な2つの要素であり、『業務遂行型リーダーシップ』と、『チームワーク型リーダーシップ』と名付けることもできる。

 われわれが職場のことを考えるときに、つねに念頭に浮かんでくるのは、「仕事か、対人か」という切り口である。それはリーダーシップについてもあてはまっている。それはなぜだろうか?

 仕事の世界は、理性と論理が支配しているので、もっぱら左脳が活躍する領域だ。一方、職場の人間関係は、ロジックで割り切れるものでなく、感情や感性や感覚の働きが作用している。そうすると、右脳の働きに頼らなければならないことが多い。要するに、リーダーシップを考えるのに、業務と対人の2次元が普遍的であったのは、われわれの脳の構造――左脳と右脳の機能の違い――から影響を受けているかもしれないのである。

 実際、高度な精神活動は脳全体を使っているので、左脳と右脳の2つの半球にそのまま対応させることはできない。それでも、仕事と対人という大きな2つの対立軸を、リーダーシップのセオリーがいつも持っているとすれば、そこには脳の構造からくる影響を読み込まざるを得ないだろう。

 ところが、時代が進むにつれて、日々のマネジメントに直結するリーダーシップより、未来を志向したリーダーシップが重視されるようになってきた。だから現在志向に対する未来志向という切り口を考える必要がある。

 業務の進め方について現状でよしとするのでなければ、未来に向けて求められるのは、業務改善や組織改革といった変革である。そして、その変革をもたらすのが、リーダーが示すビジョンや先見性だ。

 変革とビジョンは相性がよい。だから、未来志向のリーダーに求められる1つの方向性が、現状を打破し変革するための先見性を、ビジョンとして語ることである。これを『ビジョン型リーダーシップ』と呼ぼう。

 一方、対人面での将来を考えていくとすれば、それはいうまでもなく、次の世代や将来を担う人材を育成することだ。とくにわが国の職場では、部下育成の責務がリーダーシップの重要な役割に考えられている。だから、リーダーシップの要素として、『育成型リーダーシップ』を、その1つに位置づけるのは不適切ではない。

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