内なる力を引き出す
モチベーションという名の船の旅

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 そして、モチベーションに作用する報酬には、活動自体によって生じる達成感や満足感・至福感といった「内発的報酬」と、お金や褒め言葉などの外から与えられる「外発的報酬」があることが知られている。そのうち、近年、大切にされているのは、内発的な報酬に促される行動だ。いわゆる「ご褒美」が外から与えられるのではなく、趣味や遊びのように、その活動自体の喜びを求めることを、「内発的動機づけ」と呼んでいる。

 ダニエル・ピンクは、その著書『モチベーション3.0』(講談社、2010年)のなかで、飢えや乾きなど生存(サバイバル)を目的とする「モチベーション1.0」、信賞必罰でアメとムチによって外から与えられる「モチベーション2.0」の仕組みで動かされる時代は過ぎ去り、21世紀の現代は、自分の内面から湧き出るやる気(ドライブ)に基づく「モチベーション3.0」の時代だと主張している。この考え方は、「内発的動機づけ」に強く影響を受けている。

モチベーションという船の旅

 人生と同じように長い航海を託す船にたとえて、モチベーションを考えてみよう。図3を眺めてほしい。

 船の推進力(エネルギー強度)を決めていくのは内燃機関(エンジン)だが、これがそもそものモチベーションの基礎だ。エンジンにはさまざまな方式(蒸気機関やディーゼル機関やガソリン機関など)があり、出力(馬力)も異なるが、いずれもギアやエンジン回転(前進回転と後進回転)の働きなどにより、前後に推進する。だから、エンジンを十分にコントロールできる能力が、まず必要である。要はエンジンを発動させ、うまく制御し、前進と後進のどちらにどの程度の動力を伝達するかを、意識的にコントロールすることが大切なのだ。

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