幸福を呼ぶキャリア論

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大学にハローワークの時代が到来

「失敗しないマイホーム」や「失敗しないダイエット」まで、世の中には「失敗しない○○」が流行っている。ミスや失敗を恐れる考え方や、周りと同じでよいという横並び意識は、われわれ大人にも深く染みついている。だから、「失敗しない○○」と喧伝するマーケティング戦略を打てばベストセラーが生まれるし、「失敗しないキャリア選択」がまかり通ってしまう。

 別に、「失敗するキャリアを選択せよ!」と言っているわけではない。キャリアに成功も失敗もない。あるのは主観的な評価だから、自分のキャリアは失敗だと信じ込んで、その場に立ちすくんでしまうことが、失敗の本質だろう。格言にもあるように、「失敗はつまずくことではなく、つまずいたままでいることである」。

 5月12日、教育界は大いなる安堵感に包まれていた。政府がまとめる「若者雇用戦略」として、大学内にハローワークを設置する案が示されたからだ。雇用のミスマッチを解消するために、地方の国公立大学や私立大学にハローワークの窓口を常設し、専門相談員を派遣する。そこで、内定が得られないかわいそうな学生たちに、自己PRやエントリーシート(ES)の書き方や面接の受け方などを、個別に指導するという。

 就職指導実績の浅い大学や地方の大学にとっては、キャリア問題についても、政府が主導する護送船団方式は、とてもありがたいことだ。だが、はたしてこれで、キャリアの問題が解決するのだろうか? そもそも、いったい何が問題だったのか?

キャリアスタートの縮み志向

 職業キャリアのスタート時点では、まず「就職」という大きな壁が立ちはだかっている。小津安二郎監督の有名な映画「大学は出たけれど」(1929年松竹)をリメークするかのように、リーマンショック以降の金融不況の影響を受けて、就職が厳しさを増している。

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