不満渦巻く人事評価改善の方策
連携せよ!左脳的評価と右脳的評価

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右脳的評価か、左脳的評価か

 総合評価と分析的評価の違いは、文化に依存しているように見える。しかし、その根本には、脳の構造が影響しているかもしれない。

 評価の話から脱線して、人間の脳の話になりますが、ちょっとおつきあいを。

 脳が機能麻痺を起したときに、いったいどんな感じがするのだろうか? 日本人の死因の第3位が脳卒中なので、ビビってしまうが、脳卒中を起こしたときの経験を、つぶさに語ることができる人がいる。脳科学者ジル・ボルテ・テイラーである。

 彼女は、自身が脳卒中に見舞われ、歩くことも、まともに話すことも、読み書きもできずに、だんだん身体が麻痺していったときの経験をこう語っている。

「脳卒中を起こした朝、私は左目の裏にひどい痛みを感じました。左脳の血管が破裂した私は、バランスを崩し、壁にもたれかけました。そして腕を見ると、自分がどこから始まりどこで終わるのか、その境界が分かりませんでした。腕の原子・分子が壁の原子・分子と混じり合って、一緒になっているのです。もはや、身体の境界が分からない私は、自分が大きく広がるように感じました。すべてのエネルギーと一体となり、それは素晴らしいものでした。

 右脳は映像で考え、自分の身体の動きから感覚で学びます。右脳を通して見ると、自分という存在は、自分を取り巻くすべてのエネルギーとつながった存在なのです。

 一方、左脳はまったく異なった存在です。左脳は直線的・系統的に、そして言語で考えます。左脳は詳細を拾い出し、分類し、整理し、これまで記憶してきた過去と結びつけて、将来へと投影します。左脳から見ると、私は周りのエネルギーの流れから分離され、一人の確固たる個人となるのです。」

 一命を取り留めたテイラー女史が語るこの貴重な体験は、われわれになにを示唆しているのだろうか?

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