不満渦巻く人事評価改善の方策
連携せよ!左脳的評価と右脳的評価

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グローバル時代の評価の課題

 社会の変化は待ってくれない。市場のグローバル化の影響を受け、望むと望まざるとにかかわらず、海外に事業を展開し、会社の機能を現地に移管し、グローバルの波に乗っていかなければならない。そういうご時世だ。

 そのために、国内でたくさんの外国人を雇い、日本人従業員も多く海を渡っている。会社のダイバーシティ(人材多様性)のレベルが上がり、職場が国際化すれば、日本企業の処遇のあり方は、伝統的な日本的経営の方針から離れていかざるをえない。評価のあり方も、グローバル対応していかなければならないのである。

 すでにグローバル化を果した企業では、人事制度もグローバル対応させている。全世界、どの国で働いているとしても、その会社で共通する評価システムで、評価が行われることを旨としている。しかし、同じシステムを使っているから、それで安心とはならないところが曲者だ。人事評価には、文化による影響が表れてしまう可能性がある。

 ジャッキー・チェン主演『ポリス・ストーリー(警察故事)』などを見れば、香港警察には中国系警察官しかいないような印象を受けてしまうが、実は、香港警察には中国系と英国系の警察官がいる。その香港警察における人事評価を研究したのが、ポール・ヘンペルである。面白いことに、香港での人事評価では、文化的違いがはっきりと浮き彫りになったのだ。

 図を見てほしい。これは、中国系評価者と英国系評価者が、部下の同じ要素を評価する際に使う認識の違いを示している。たとえば、「この部下は能力が高い」と中国系上司が判断するポイントは、英国系上司では、「仕事の目標と仕事の優先順位がはっきりしている」という認識に変わってしまう。また、中国系上司が「仕事に自信をもっている」と評価するポイントは、英国系上司では、「職務について十分な知識と経験がある」というポイントに変わる。同じ部下の同じところを見ているはずなのに、なぜか見方に違いが出てくる。

 一見すれば、中国系上司は、部下を包括的に理解し、全人格的な総合評価を行なう傾向がある。英国系上司は、部下の行動やスキルを細分化し、分析的に評価しようとする。この認識の違いは、一般に、総合評価と分析的評価という評価の特徴に表れてくるものだ。

【図】文化による評価の違い
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