不満渦巻く人事評価改善の方策
連携せよ!左脳的評価と右脳的評価

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 一方で、学界では、評価の誤りは科学のメスによって解決できるとする立場が堅持されている。わが国では、人事評価といえば、実務家向けのビジネス書しかないが、経営学の本場アメリカにおいては、毎年数限りない科学的研究が実施されている。だから、神戸大学ビジネススクールに入ったつもりで、人事評価について、科学的に考えてみよう。

評価の理想的条件

「人が人を評価するのだから、完璧な評価はありえない」と上司は言う。本当にそうなのだろうか? 逆に、完璧な評価があるとすれば、いったいそれはどのようなものか?

 人事評価に関するこれまでの研究によれば、①評価者が評価する職務領域に精通していること、②評価者としての豊かな経験をもっていること、③対象者がとった行動を直に観察できること、④観察時点と評価時点に時間的ズレが少ないこと、⑤評価結果を公表し、情実を抑制できることなどが、その条件として指摘されている。なるほど、理想的な評価の条件は揃った。

 では、クイズです。このような評価が行われている状況はどこでしょうか?

 答えは、オリンピック採点競技である。近年のオリンピックでは、記録や勝敗を争う競技に加えて、演技の質を争う採点競技が注目を浴びている。夏季五輪のシンクロナイズド・スイミング、冬季五輪のフィギュアスケートなどがその花形だ。そのオリンピックの採点競技は、採点に最高の正確さを求めるために、いくつかの際立った特徴をもっている。

●各国から選ばれた最高水準の審判員(ジャッジ)
●限定された評価要素(一般に、技術点と芸術点の2つだけ)
●採点基準の明文化
●多数の審判員による評価(パネル審判)
●最高点と最低点を除いた平均(中間平均)
●コンピュータ抽選による審判員の選出

 さすがにオリンピック採点競技だけあって、一般の人事評価にはない創意工夫が、いくつもなされていることがわかるだろう。では、結果として出される採点の正確さはどのくらいなのか?

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